研究課題/領域番号 |
21K16201
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
北村 真也 北海道大学, 大学病院, 助教 (70875161)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | FAM83H / 有棘細胞癌 / ケラチン / FAM83ファミリー |
研究開始時の研究の概要 |
正常表皮細胞あるいは皮膚腫瘍(有棘細胞癌、ボーエン病など)におけるFAM83Hの発現検討や、FAM83Hノックダウン細胞の作製・解析を2021年度に行う。2022年度および2023年度は、過剰発現細胞を用いた解析・結合分子の解析・細胞内での機能を解析する。これらによって、表皮角化細胞およびその悪性腫瘍(有棘細胞癌 )におけるFAM83Hとその結合分子(TRIM29・ケラチン)の未知の機能を解明する。
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研究実績の概要 |
皮膚有棘細胞癌(squamous cell carcinoma, 以下SCCと略す)は、世界で2番目に多い皮膚悪性腫瘍であり、主に慢性的に日光にさらされる高齢者の皮膚に好発する。その有病率は、急速な人口動態の高齢化に伴い、年々増加している。本研究では皮膚SCCにおけるFAM83H分子の機能を解析した。結果として、1)皮膚SCCにおけるFAM83Hの発現レベルは、正常皮膚に比べて低下する。2)FAM83Hをノックダウンすると皮膚SCC細胞の遊走能および浸潤能が亢進する。3)In vivoにおいてFAM83Hをノックダウンすると転移能が亢進する。4)FAM83Hのノックダウンにより、ケラチン束の太さと数が減少する。5)FAM83Hをノックダウンするとケラチンの可溶分画が減少するが、不可溶分画には影響を与えない。6)FAM83Hの発現が低下すると、正常では細胞質にびまん性に分布しているケラチン線維が、核周囲に凝集する。以上が解明された。FAM83Hは、ケラチンの分布や構造を変化させることで、皮膚SCC細胞の遊走/浸潤/転移に関与していると考えられる。皮膚SCCではFAM83Hの発現低下が、腫瘍の進行に寄与すると考えられた。臨床的な応用を考えた場合には、腫瘍局所的にFAM83Hの発現を亢進させるような工夫が必要である。また、FAM83Hのノックダウンによりケラチン束の太さ・数やケラチンの可溶性が変化するメカニズムについては、本研究では解明できておらず、今後の課題として残っている。また、頭頸部有棘細胞癌におけるFAM83Hの発現様式は皮膚SCCとは大きく異なっており、上皮組織におけるFAM83Hの発現や癌化との関連についても解明していきたい。
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