研究課題/領域番号 |
21K16232
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
小林 景樹 札幌医科大学, 医学部, 訪問研究員 (50828085)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | IL-1 / IL-8 / IL-36 / IL-17 / 喫煙 / 掌蹠膿疱症 |
研究開始時の研究の概要 |
掌蹠膿疱症(PPP)は掌蹠に水疱, 膿疱が繰り返し出現する炎症性疾患で, 喫煙者に多い。我々は最近, タバコ煙抽出物の刺激により, 扁桃上皮細胞とケラチノサイトからIL-36の産生が誘導されPPPの病態の中心的役割を担っている可能性を報告した。本研究では喫煙によるPPPの局所病変の形成のメカニズムを明らかにするために, 喫煙刺激による扁桃上皮細胞・リンパ球, ケラチノサイトの免疫学的変化を解析する。喫煙刺激が抗菌ペプチドや炎症性サイトカイン産生に及ぼす影響を明らかにしたい。本研究により PPPのみならず喫煙が原因となる他の炎症性皮膚疾患の新規治療法の開発に繋げたい。
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研究実績の概要 |
喫煙が関与する皮膚疾患は乾癬、掌蹠膿疱症、化膿性汗腺炎の3つである。いずれの疾患もQOLを著しく低下させ、しばしば難治性である。近年IL-8, IL-36が病態に関与することが報告されている。乾癬では治療選択肢が多いが、掌蹠膿疱症、化膿性汗腺炎は治療選択肢が少なく、病態に根差した新規治療法の開発が望まれている。われわれは耳鼻咽喉科領域の手術で得られた頸部皮膚由来のケラチノサイトを用いた研究を進めている。ケラチノサイトに対して喫煙刺激ならびにIL-17AまたはIL-17Fで刺激するとIL-36, IL-8の発現が亢進することを確認した。IL-17FはIL-17Aに比べると生理活性が弱いと考えられているが、乾癬の皮膚病 変では約30倍程度高発現していることが知られている。そこでIL-17Fの投与量を増やすと、容量依存性にIL-36, IL-8の発現が亢進することを突き止めた。一方でIL-1についてはそのような傾向はみられなかった。従ってIL-17A, IL-17Fを療法ブロックするビメキズマブは喫煙が関与する皮膚疾患に対する有用性を検証するものと言える。つまり喫煙刺激がIL-17/IL-36 axisを強化させ、病変部の膿疱化を誘導することが示唆される。この結果は喫煙が関与する疾患である乾癬・掌蹠膿疱症・化膿性汗腺炎の病態メカニズムの解明の鍵になると考えられる。以上の内容について論文投稿し、2023年5月3日Journal of Dermatological Scienceにアクセプトされた。さらなる検証を進めるために、タバコの各成分における検討をすることが望ましい。また、ここまでの研究内容はあくまでもin vitroでの成果である。今後はマウスを用いた動物モデルなどvivoにおける検証が必要と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のように研究は狙い通りの結果が得られ、2023年5月3日Journal of Dermatological Scienceにアクセプトされた。
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今後の研究の推進方策 |
研究内容はあくまでもin vitroでの成果である。今後はマウスを用いた動物モデルなどvivoにおける検証が必要と考えられる。そのための準備を進めていく
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