研究課題/領域番号 |
21K16255
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
|
研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
小川 実加 愛知医科大学, 医学部, 講師 (70894369)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 血友病 / 間葉系幹細胞 / 血友病性関節症 / メトホルミン / 7ND / 凝固 / 血管新生 / ADSC / MSC / 骨芽細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
血友病性関節症の機序の解明と治療法の開発は大きな研究課題であり、我々は炎症性細胞だけでなく隣接する骨芽細胞からも血管新生因子が産生されており線維化を促進するFGF2により増加することを見出した。骨芽細胞特異的VEGF-A K/Oマウスを用い、それが関節症の進展にどのような役割を果たしているか解析し、FGF2によるVEGF-A産生調節機構も解析する。迅速な関節出血止血法(出血量及び続発性炎症を最小限とする)と既に形成されている滑膜異常血管を消失させる治療法を開発する。遺伝子導入により抗炎症作用を高めた脂肪組織由来間葉系幹細胞、血管新生抑制が想定される薬剤の効果を血友病マウスモデルにて検証する。
|
研究実績の概要 |
血友病性関節症は、患者のQOLを著しく低下させるためその機序の解明と治療法の開発は大きな研究課題である。関節出血→炎症細胞の浸潤→滑膜血管新生→易 出血性→再出血→関節症(軟骨破壊及び滑膜線維化)という悪循環が存在していると考えられている。 出血量及び続発性炎症を最小限とする迅速な関節出血止血法と、既に形成されている滑膜異常血管を消失させる治療法を開発する。具体的には、遺伝子導入により抗炎症作用を高めた脂肪組織由来間葉系幹細胞(ADSC)、糖尿病薬であるメトホルミンの効果を血友病マウスモデルにて検証する。 遺伝子導入間葉系幹細胞(MSC)の樹立:関節腔内は、凝固カスケードの引き金となる組織因子が少ない。トロンビン形成が不十分で凝固因子を補充しても止血効果が得られにくいが、トロンビン生成量を増加させると炎症を惹起する。この相反する問題を解決するため、ADSCに着目した。その細胞表面には組織因子が発現しており、血液凝固を促進する。もともと強力な炎症抑制作用を有するが、炎症性細胞の浸潤を強力に阻害する7ND (CCL2のドミナントネガティブ変異体)をADSCに遺伝子導入し(7ND-ADSC)、その作用を増強する。血友病マウスに膝関節出血を惹起し、その関節腔内に7ND-ADSCを注入し、出血量の減少及び関節症進展抑制が得られるか確認をする。7ND-ADSCを樹立し形質確認(導入効率、7ND発現量、血液凝固促進能、分化能)した。 血友病マウスを使用した実験のセッティングをすすめており、血友病マウスの個体数確保をし、適切なMSC投与量の評価、関節穿刺手技の確立、invivo imagingを用いた細胞の残存評価、micro CTを用いた骨評価を行っていく。予備実験として、関節穿刺を行い、Visual Bleeding Scoreと関節径の評価を行い、MSCの止血効果は期待できるものであった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
短期間で遺伝子導入間葉系幹細胞を作成し、形質確認できた。 現在血友病マウスを使用した実験のセッティングをすすめており、関節出血に対する7ND-ADSCの止血効果を明らかとする。予備実験として血友病マウス膝蓋靭帯に30G注射針を挿入し関節出血させ、関節穿刺を行い、Visual Bleeding Scoreと関節径の評価を行い、MSCの止血効果は期待できるものであった。またその評価に必要な病理評価・抗体染色についても血友病マウス膝関節の検体を用いて確立できた。 実験に必要な血友病マウスの個体数を増やしており、in vivo実験での効果が期待される。
|
今後の研究の推進方策 |
血友病マウスを使用した実験のセッティングをすすめており、血友病マウスの個体数確保をし、適切なMSC投与量の評価、関節穿刺手技の確立、in vivo imagingを用いた細胞の残存評価、micro CTを用いた骨評価を行っていく。 PBSまたはRPMI、コントロールADSC、7ND-ADSCを局所投与する。2週間後に屠殺し関節腔内のヘモグロビン量、炎症性細胞数を定量し比較検証する。 すでに形成されてしまった新生異常血管に対する治療として、新生異常血管に対するメトホルミンの抑制効果を明らかとする。上述の如く1ヶ月毎に血友病マウス関節出血を誘導し関節症を発症させる。その期間中は、飲水にメトホルミンを添加しマウスに毎日服用させる。半年から1年後に屠殺し滑膜血管新生や繊維化の程度をHE染色や抗CD31抗体やF4/80を使った免疫染色にてコントロール群と比較する。
|