研究課題/領域番号 |
21K16265
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
材木 義隆 金沢大学, 附属病院, 特任助教 (70895747)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 再生不良性貧血 / HLA欠失 / クローン進展 / 骨髄異形成症候群 / 急性骨髄性白血病 / 免疫抑制療法 / モノソミー7 / HLA / 7番染色体欠失 / HLA / シングルセル解析 |
研究開始時の研究の概要 |
再生不良性貧血に対する免疫抑制療法の奏効率は、近年トロンボポエチン受容体作動薬の併用により著しく改善された。一方で、造血刺激による二次性骨髄系腫瘍の増加が懸念されている。本研究の目的は、再生不良性貧血患者が免疫抑制療法後にしばしば合併する7番染色体欠失を伴う二次性骨髄系腫瘍の発症メカニズムを明らかにし、早期治療の可能性を探ることである。そのために7番染色体欠失クローンを高感度に検出・解析する方法を開発し、再生不良性貧血患者における微小7番染色体欠失クローンの保有率、自然経過および分子生物学的特徴を明らかにする。
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研究実績の概要 |
再生不良性貧血(AA)患者のHLAクラスIアレル欠失血球を検出する多施設共同研究を継続した。抗胸腺細胞グロブリン(ATG)を用いた免疫抑制療法後には、HLA-A*02:01欠失血球陽性患者は、モノソミー7陰性の芽球増加を伴う高リスク骨髄系性症候群(MDS)や急性骨髄性白血病(AML)に移行しやすく、HLA-B*40:02欠失血球陽性患者はモノソミー7陽性MDSに移行する傾向があり、HLA-A*02:06欠失血球用性患者ではMDSへの進展は認めなかった。また、HLA欠失血球陽性AA患者が、MDSにクローン進展した際には、HLAを保持しているクローンが拡大していた。HLA遺伝子のイントロン1ブランチポイント変異クローンが拡大してMDSに移行した症例も確認されていない。 特定のHLAアレルを欠失しMDS/AMLに移行しやすいAA患者には、ATGを用いた免疫抑制療法よりも、同種骨髄移植の方が予後改善に効果的かもしれない。このため、骨髄バンクから提供を受けた移植前のAA患者の末梢血DNAを用い、デジタルPCR法で6pLOHにより欠失するHLAアレルの種類と移植成績を検討した。その結果、HLA-B*40:02もしくはHLA-A*02:06を欠失した患者は、移植後全例生存しており、この2種類以外のHLAアレルを欠失した患者と比べて移植成績が良好であった(Transplant Cell Ther 2024)。さらに、全国レジストリデータ解析により、HLA-A*02:06、HLA-B*40:02に次いで、日本人AA例で欠失しやすいHLA-A*02:01、HLA-A*31:01、HLA-B*54:01を欠失した患者の同種造血細胞移植成績も良好であることが推定された(米国血液学会口演 2023)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
HLAクラスIアレル欠失血球陽性患者では、欠失するHLAアレルの種類によってMDSの進展リスクや進展するMDSの種類が異なること、しかしながらこれらのクローン進展のほとんどはHLAを欠失していない血球分画に生じることを確認することができた。また、特定のHLAクラスIアレルを欠失した血球を有する患者に対する同種造血細胞移植の有効性を確認することができた。一方で、HLA欠失血球患者を対象とした網羅的遺伝子解析については、ソーティングした細胞分画を蓄積している段階であり、翌年度にライブラリ作製とシークエンシングを実施予定である。
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今後の研究の推進方策 |
HLA欠失血球陽性AA患者において、MDSのクローンの発生元となっているHLA非欠失分画における網羅的遺伝子変異解析とコピー数解析を進める。
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