研究課題/領域番号 |
21K16292
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54020:膠原病およびアレルギー内科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
秋山 光浩 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (30645750)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | Tfh / IgG4-RD / IgG4関連疾患 / 濾胞性T細胞 / 転写因子 / 網羅的解析 / 分子機序 |
研究開始時の研究の概要 |
IgG4関連疾患はステロイド治療の漸減により高率に病勢が再燃する。そのため、ステロイドに代わる治療標的分子が模索されている。研究代表者は本疾患でTfh2細胞が分化増殖活性化して病態形成の中心を成すことを世界で初めて報告した。本研究ではRNAシークエンスにより患者由来Tfh2細胞で健常人と比較して特徴的に発現上昇または低下している分子経路を網羅的にスクリーニングし、その後患者細胞を用いてin vitroでの機能解析を行い、Tfh2細胞の分化増殖活性化制御機構における候補分子の役割を明らかにする。
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研究実績の概要 |
IgG4関連疾患は涙腺や唾液腺の腫脹、膵臓の腫大、腎病変、後腹膜線維症、大動脈周囲炎を主に罹患する慢性炎症性の全身疾患である。本疾患はグルココルチコイドが治療として奏功することから病態に免疫が関与していることが明らかである一方、グルココルチコイドの漸減により半分以上の症例で疾患が再燃するため、病原を是正できるような標的分子の発見が望まれる。我々はこれまでTfh2が本疾患においてIgG4産生B細胞を分化誘導して病態の上流を担っている責任リンパ球であることを同定し報告してきた。しかしながらTfh2に関してはその分子学的特徴は明らかとなっておらず、本研究ではIgG4関連疾患のTfh2の分子学的特徴を明らかとし、将来的な治療標的候補を発見することを目標としている。令和3年度までで、本研究計画に必要な患者検体の収集とRNAシークエンシングを行うことができた。令和4年度はIgG4関連疾患患者のTfh2の遺伝子発現解析から、本疾患で健常人と比較して上昇している分子Cを見出した。また、分子CのTfh2における発現上昇を蛋白レベルで患者と健常人の末梢血を用いて比較検討し、蛋白レベルでも発現が上昇していることを確認した。また、分子Cの臨床的指標との関連解析を実施し、分子Cが血中のIgG4値と正の相関を示すことを見出した。一方で、アレルギーの指標とは有意な相関を認めなかった。さらに患者病変局所での解析も実施しており、病変局所に浸潤するTfhも分子Cを発現していることを確認した。IgG4関連疾患患者におけるグルココルチコイド治療前後での分子Cの発現の評価を行ったが、グルココルチコイドは臨床所見を改善させるものの分子Cの是正までは至っていなかった。現在、分子CのTfh2における病的意義に関してさらなる機能解析を実施している。研究は当初の計画通り順調に進行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定どおり、遺伝子発現レベルでのスクリーニングを終え、蛋白レベルでも標的とする分子Cの患者由来Tfh2での発現上昇を確認できた。さらに分子Cの病変局所での発現の確認もできた。現在機能解析実験を進めており、最終的な成果をまとめられると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
概ね研究計画通りデータの収集は得られており、英文誌投稿の準備を進める。
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