研究課題/領域番号 |
21K16313
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54020:膠原病およびアレルギー内科学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
日高 由紀子 久留米大学, 医学部, 助教 (90569427)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | KIF7 / Gli転写因子 / hedgehog / 一次繊毛 |
研究開始時の研究の概要 |
PAC症候群症例でKIF7遺伝子の異常を同定した。KIF7遺伝子変異は、特徴的な骨格および 脳神経異常をもたらすciliopathy と呼ばれる遺伝疾患をおこすことが報告されている。本症例では皮膚、関節、大腸の炎症を特徴とする自己炎症性疾患の病像を呈した。本症例を用いてKIF7の機能変化を細胞生物学的に解析する。野生型と変異型のKIF7発現ベクター、および症例由来と健常者由来のiPS細胞を用いた比較解析を3つのアプローチで行う。①KIF7の基本機能である一次繊毛の形態維持への影響 ② hedgehogシグナルや転写因子Gli活性への影響 ③インフラマソーム活性への影響を解析する。
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研究実績の概要 |
本邦初のPAC症候群の症例でKIF7遺伝子異常を同定した。KIF7遺伝子変異によりKIF7の機能変化を細胞生物学的に解析を行っている。KIF7は一次繊毛の形態および機能を掌り、ヘッジホッグシグナルの活性化を調整していると考えられている。その下流シグナルとして転写因子Gliが知られ、細胞質蛋白であるSuppressor of Fused(SuFu)と複合体を形成し活性化する。この活性化の過程において、SuFu-Gli複合体は速やかに一次繊毛における細胞内局在を変えることが報告されている(J Cell Biol.2010;191:415-428)。 PAC症例と健常者由来のiPS、あるいはKIF7-S456FとKIF7-wtを強発現させたヒト細胞株を用いて、hedgehog活性化誘導試薬による処理後、免疫蛍光染色によってGliの細胞内局在を観察することで、Gliの活性化を確認する。Gli転写活性の解析には、Gli転写因子認識配列をもつレポータープラスミド8×3'Gli-BS-delta51-LucⅡ、およびその変異プラスミド8×m3'Gli-BS-delta51-LucⅡを用いたアッセイを行う。この目的のため、hedgehog活性化誘導試薬が有効な細胞下部の選択をおこなっている。PAC症例と健常者由来のiPS細胞、あるいはKIF7-S456FとKIF7-wtを共発現させたヒト細胞株をLPSなどリガンドで刺激し、インフラソームの活性化を誘導し、IL-1β濃度をELISAで測定する。また、他施設におけるKIF7変異マウスの解析研究機関との共同研究をセットアップした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
KIF7遺伝子導入は各種細胞において確認された。レポータープラスミド8×3'Gli-BS-delta51-LucⅡとの共発現にも成功した。hedgehog活性化誘導試薬によるGliの活性化を十分なシグナル強度として検出できていない。今後、細胞株の変更などを考慮する。 一方で、今研究に関して川崎医科大学との共同研究を開始することができた。具体的にはKIF7変異マウスを用いた解析が行われているが、その結果KIF7遺伝子変異により発現が激変し、PAC症候群の病態を説明しうる遺伝子が同定され、本研究を推進する大きな情報となった。その情報をもとに患者さんと健常者の血液検査を行い、リガンドで刺激、差をみる研究を計画している。2023年度は家庭の事情により研究の一部を延期した。今年度は研究を進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り疾患を惹起するKIF7遺伝子変異によるGli活性化を評価する研究を進めていく。さらに、共同研究を展開することで、よりヒト症例を説明しうる具体的な展開(サイトカイン産生への影響など)を見据えた研究をひきつづき行う。
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