研究課題/領域番号 |
21K16322
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
平山 達朗 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (40836269)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | Candida auris / 腸管 / 薬剤耐性 / エキノキャンディン / キャンディン系抗真菌薬 / FKS1 / キャンディン系 / Candida / 抗真菌薬 / 耐性 / マウスモデル |
研究開始時の研究の概要 |
侵襲性カンジダ症の治療にはキャンディン系抗真菌薬やアゾール系抗真菌薬が用いられるが、近年これらに耐性を示すカンジダの増加が問題となっており、この耐性は主に腸管内の定着菌が獲得していると推察されている。 本研究の目的は、臨床病態に近い動物モデルを用いて実際の薬剤暴露により誘導された耐性機序を明らかにすることである。既知の耐性機序に加え、各種ストレス応答機序の関与を検討し、網羅的遺伝子解析を組み合わせることで新規耐性機序の解明も進めていく。本研究成果は耐性菌の克服を目指した新たな治療戦略の開発に寄与するものと考える。
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研究実績の概要 |
Candida aurisは、侵襲性カンジダ症の原因菌であり、複数の抗真菌薬に耐性であることが多く、世界的に問題となっている。2022年にWHOが発刊したfungal priority pathogens listの中でも最も優先度の高いグループに位置しており、早急な対策や基礎研究の推進が必要である。第一選択薬はキャンディン系抗真菌薬であるが、耐性であることも少なくない。他のカンジダ属と比較して皮膚などに定着しやすく、腸管への定着は少ないと考えられているが、本研究ではC. aurisがマウスの腸管に定着し、またキャンディン系薬に曝露されることで薬剤耐性を獲得することを明らかにした。 キャンディン系薬に対する耐性機序としてFKS1のhot spot 1、hot spot 2に変異を持つ株が複数得られ、その中にはこれまで報告のない変異も含まれていた。これらの変異株は、発育速度やストレス応答などは野生株と変化なく、マウスへの病原性も野生株と変化がないことを確認した。マウスを用いた治療実験では野生株と比較すると、キャンディン系薬に対する治療効果が乏しいことも確認できた。C. aurisも他のカンジダ属と同様に、腸管にて薬剤耐性を獲得し長期間生存する可能性を示した。本研究で得られた知見は論文にて発表した(Hirayama T et al, Antimicrob Agents Chemother, 2023)。さらにCRISPR/Cas9にてこれらの変異を導入/修正することで、in vitro、in vivoにおける薬剤感受性が変化することを確認した。 このほかにも腸管から分離された株の中には、キャンディン系にしか曝露していないにも関わらず、アゾール系への感受性が低下した株が分離された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始時の目的である、Candida aurisが腸管で薬剤耐性を獲得するかという疑問を解決でき、その耐性機序も解明することができた。論文も出版できており、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
分離された株の中にはキャンディン系のみならず、アゾール系にも耐性傾向となった株が分離されており、網羅的遺伝子解析などによりこれらの耐性機序の解明を進めている。変異の数やアップレギュレーションしている遺伝子群が多く、解析に時間がかかっているが、様々なストレスへの感受性や、耐性に影響すると考えられる遺伝子のゲノム編集を行い、新たな耐性機序の解明を目指す。
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