研究課題/領域番号 |
21K16325
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
入江 隆夫 宮崎大学, 農学部, 准教授 (20753833)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 血中循環核酸 / エキノコックス / 肺吸虫 / 診断系 / 診断 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトの組織内に寄生するエキノコックスや肺吸虫等の診断においては、画像検査による病巣の確認や血中の特異抗体の検出など、いわば間接的な検査が主に利用されてきた。本研究は、寄生虫由来の宿主血中循環細胞フリーDNA(Circulating Cell-free DNA: ccfDNA)を標的に、次世代シークエンス解析によるccfDNAの網羅的同定とリアルタイムPCR法を用いた高感度検出系の設計を通じ、リキッドバイオプシーのみでヒトや動物の寄生虫感染を直接的に判定できる新規検査法の確立を目指す。本手法により、早期診断の実現ならびに治療効果判定の正確性向上が期待される。
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研究実績の概要 |
エキノコックスに関しては、WGSにより得られた候補配列についてリアルタイムPCRによる検出系の検討を昨年度から継続した。多包条虫ゲノムにマッピングされたリードの遺伝子領域として特定されたものとして、タンデムリピート構造の知られるU1 snRNA領域のほか、ミトコンドリアに由来するコピー数の多い領域が複数見られた。また、血清学的診断にも用いられる特異的タンパク質をコードするDNAなども見られた。今年度はこれらについてリアルタイムPCRの検出系を評価したものの、結果としては、現時点で最良のものは、昨年度に試行した領域であり、感染早期の検体での検出感度が8割にとどまってしまっている。そのため、現時点では感染期間を通じて確実に検出可能となる系の確立には至っていない。次年度、残り数候補について評価を行い、その時点での最良のものを決定し、ヒトの検体での検討に移行したいと考えている。 肺吸虫については、人獣共通寄生虫である宮崎肺吸虫メタセルカリアを得て、ラットへの感染実験を行った。虫体が十分に成熟後、採血を行い、ccfDNAを抽出、WGSによる配列の網羅的同定を行った。しかしながら、各検体約500万リードのccfDNAの中から、宮崎肺吸虫特異的な配列は得られなかった。原因としてラットにおける成虫の定着率の低さ(約1割程度)があると考え、現在、人獣共通寄生種ではないがラットを好適な終宿主とする大平肺吸虫での再検討を進めている。既に採材まで完了し、今後ショットガンシークエンスへと進む予定である。なお、大平肺吸虫の感染実験では、投与した幼虫の約半数が成虫へと発育していることが確認できているため、肺吸虫由来の循環核酸の検出が期待できる状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エキノコックスについては、2年次の目標として感染初期にも検出可能である特異的ccfDNAを特定するところまでを挙げており、実際に評価を進め、候補の中での最良のものは絞れている。ただし、現時点での感度が100%ではないことから、さらに数候補についても検出系を試行し、これを終えた後、3年次の目標である臨床検体での試験に移行したいと考えている。 肺吸虫については、目標通り一連の研究(WGSおよびその解析)を終えたものの、使用した寄生虫種が条件の厳しいものであったため、同解析を異なる種で実施する必要が出てしまった。ただしこの追加検討についても、実験感染と採材は終えていることから、速やかにWGSを開始し、エキノコックス同様の候補配列の絞り込みに移行したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
エキノコックスに関しては、残りの候補配列についての検討を速やかに終え、臨床検体での評価に移行する。 肺吸虫については、まずは大平肺吸虫感染ラット血漿のWGSを終え、候補配列の検討に着手する。平行して、肺吸虫感染犬検体での検討に速やかに移れるよう、ccfDNAの抽出を進める。
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