研究課題/領域番号 |
21K16332
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
庄司 健介 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 小児内科系専門診療部, 医師 (60827559)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 薬物動態 / 母集団薬物動態解析 / 抗微生物薬 / 小児 / TDM |
研究開始時の研究の概要 |
高度先進医療の発達に伴い、固形臓器移植、造血幹細胞移植などの高度な医療行為を受けている小児患者が増加している。このような患者はその特性から重篤な感染症を発症することが多く、抗微生物薬による適切な治療がその予後に直結する。しかし、これらの小児患者群では、抗微生物薬の治療効果と関連する適切な投与設計を志向した十分な検討が行われていない。本研究の目的は、小児重症感染症患者における、抗微生物薬の治療効果・副作用に関わる因子を明らかにし、最終的には患者予後を改善するために適切な投与設計について検討することである。この研究を通して、従来治癒が困難であった重症感染症に罹患した小児の予後の改善に貢献したい。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、①小児重症感染症患者における抗微生物薬の治療効果や予後に関連する因子を明らかにすること、②抗微生物薬の薬物動態に影響を与える因子と、その影響の大きさおよび特徴を明らかにすること、③それらを踏まえた上で、最適な投与設計について検討することであり、これらの研究活動を通して小児における重症感染症の予後の改善を目指している。研究計画3年目となる2023年度は1, 2年目の実績を踏まえ、順調に研究計画を遂行ししている。小児肝移植後患者のガンシクロビル・バルガンシクロビルの薬物動態を明らかにし、最適な投与設計を提案するための研究については、2年目から継続して実施しており、本報告書作成時点で23名から研究参加の同意を得て、検体採取を実施することができている。解析に資する充分な検体数が集まったので、本研究最終年度である2024年度は、これまで収集したデータを解析し、学会発表、論文執筆を実施する予定である。また、小児患者のダプトマイシンの薬物動態解析データを用いた症例報告は、投稿まで進み現在revisionの作業を行っているところである。また、小児がんや原発性免疫不全症のある小児患者のボリコナゾールの薬物動態に関する検討も実施しており、2023年度にはその成果を国際学会(IDWeek 2024, Boston, USA)で発表し、現在論文投稿中である。また、2023年度には薬物動態に大きな影響を与える剤形に関する総説を国際誌に掲載することもできた(Pediatr Infect Dis J. 2023;42:e298-e303)。このように通常の薬物動態を示さない可能性がある患者集団における、様々な抗微生物薬の薬物動態研究を実施することができている。2024年度は本研究の最終年度にあたるため、これまでの研究成果をまとめ、学会、論文としての実績をしっかりと出していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、固形臓器移植、造血幹細胞移植などの高度先進医療を受けている、重症感染症を発症しているなどの様々な理由で、通常とは異なる薬物動態を示す可能性のある患者群を対象に、様々な抗微生物薬の薬物動態を検討し、その薬物動態の特徴を明らかにし、最適な投与設計を導き出すことを目的としている。特に力を入れて検討をしている固形臓器移植後患者のガンシクロビル・バルガンシクロビルについては、2023年度までで解析に必要な十分な症例数を確保することができ、2024年度に解析と、その成果を発表する見込みができたこと、またダプトマイシンの薬物動態解析の結果を用いた症例報告を執筆し、投稿まで持って行くことができたこと、小児がん、または原発性免疫不全症という特殊な患者集団におけるボリコナゾールの薬物動態に関する検討を実施し、国際学会での発表を行い、論文投稿まで行うことができたこと、薬物動態に大きな影響を与える剤形に関する総説を国際誌に掲載することもできた(Pediatr Infect Dis J. 2023;42:e298-e303)ことなどから、研究3年目としては概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
現在、多種にわたる抗微生物薬の血中濃度測定を実施できる体制が整ったため、引き続き必要な薬剤の血中濃度測定が遅滞なく実施できる体制を維持する。また、これら対象となる薬物を投与された患者で、通常と異なる薬物動態を示す可能性のある背景を持つ患者に対して適切な同意を取得した上で、血中濃度測定、薬物動態解析を実施していく。薬物血中濃度測定を実施した症例については、可能な限り症例報告という形で学会発表、英文誌、または邦文誌への投稿を積極的に行っていく。そして十分な症例数が集積されたガンシクロビル、バルガンシクロビルに関しては2024年度中に薬物動態解析を実施し、固形臓器移植後患者におけるこれらの薬物の薬物動態を明らかにし、適切な投与設計の提案を行う。同様に、小児がん患者や原発性免疫不全症患者のボリコナゾールの薬物動態については、現在投稿中である論文を年度内に受理に持っていけるように全力を尽くす。これらの研究活動を通して、最終的には重症感染症患者の予後の改善を目指す。
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