研究課題
若手研究
免疫チェックポイント阻害薬(ICIs)はその有効性の一方で免疫関連有害事象(irAEs)の発生が問題となっている。中でも下垂体障害は重篤なirAEsであるがその発症機序は未だ不明である。一方で申請者は下垂体障害発症例ではICIsによる抗腫瘍効果が高い可能性を報告しており、ICIs治療前に下垂体障害の高リスク者を判別できるバイオマーカーは、副作用予防法の開発や治療法の選択において臨床的に極めて有用でありその同定が待たれている。本研究では、治療開始前の患者血液検体を用い、ICIsによる下垂体障害の発症を治療開始前に予測するバイオマーカーを確立し、より精密な個別化医療の実現へ繋げることを目的とする。
我々は先行研究において抗下垂体抗体及びHLAが下垂体免疫関連副作用(irAEs)発症のバイオマーカーとなることを報告した。この結果を踏まえ、抗下垂体抗体をプローブとして下垂体irAEsに関連する標的抗原の候補となる抗原を複数同定した。また、これまでに下垂体irAEsのリスク因子として同定したHLAは抗原レベルであったが、ハプロタイプでも解析を行い下垂体irAEsとの関連を見出している。また、これらの結果から内分泌irAEsのリスクマーカーについて着想を得て、抗CTLA-4抗体と抗PD-1抗体の併用療法、及び抗PD-L1抗体による甲状腺irAEsのバイオマーカーも同定した。
免疫チェックポイント阻害剤は進行悪性腫瘍で有効性が報告されているが、一方で免疫関連副作用(irAEs)が発症することが問題となっている。我々は先行研究において下垂体irAEsは致死的な合併症である一方で発症例では予後が良好であることを報告した。本研究では、内分泌irAEsとして下垂体irAEsを予測するバイオマーカーを同定し、さらに下垂体irAEsの発症メカニズムを解明すべく標的抗原の同定に取り組んだ。バイオマーカーの同定は予後予測やirAEsマネジメントの観点から極めて重要である。さらにirAEsの発症機序の解明は、他のirAEsおよび自己免疫疾患の病態解明につながる可能性が期待できる。
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