研究課題/領域番号 |
21K16382
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
田中 彩 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (50893244)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 甲状腺癌 / 甲状腺乳頭癌 / ctDNA / 血中循環腫瘍DNA / ゲノム / クローン進化 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで甲状腺乳頭癌(PTC)の手術検体を用い、再発と関連するマーカーの研究を行ってきた。しかし、術後の再発や転移によ治療が必要となるもの、耐性を獲得していく高度進行難治性PTCについては、検体採取の困難さから未だ分子機構は明らかでない。また、抗体や手術術式により既存の腫瘍マーカーが使用できず、病態モニタリングが難しい症例もある。 本研究では手術検体を用いない解析手段として血中循環腫瘍DNA(ctDNA)に着目し、PTCの新たな治療戦略基盤の構築を目指す。ctDNAの量・質を経時的に解析することにより、①ctDNA解析による病態モニタリング、②PTCの治療耐性獲得に寄与する分子異常の同定を行う。
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研究実績の概要 |
昨年度、cfDNAの検出感度に問題があり、以下の二つの手段を同時並行して行うこととした。(a) cfDNA解析手法の改良を行い感度を上げる方法を検討しつつ、(b) 治療抵抗性そのものの機序を明らかにするため、放射性ヨウ素治療等を施行し、様々な治療反応性を示した多くの症例の腫瘍サンプルを解析するため、それらの手術標本の収集も同時に行なうこととした。 (a)について、TERTプロモーター領域を増幅するPCRプロダクト長を90ベース未満とかなり短くなるようにプライマーを再度設計し直した。かなり古いホルマリン固定DNAを用いて検証したところ、これまでよりもかなり高い感度で、これまでの手法では検出できなかった試料でも検出可能となった。しかしながら、これを用いて血液サンプルを解析したが、十分と思える感度は得られなかった。これについて、cfDNAはDNAの領域によって血液中に遊離してきやすさに違いがあるとする報告もあるが、未だ問題の解決には至っていない。 (b)について、前年度の残り約30例について、術後の腫瘍組織ホルマリン固定パラフィン包埋切片の収集を行った。さらにこれら症例について詳細な臨床病理学的情報の収集も行なった。また、別の共同研究施設より、約150例の症例について、腫瘍組織ホルマリン固定パラフィン包埋切片の収集を行う予定としている。収集した試料からは順次DNAの抽出を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度もcfDNAについて、特にTERTプロモーターの変異解析で十分な感度が得られなかった。しかし、代替手段として開始した腫瘍組織の収集は、これも多少遅れたものの、十分な症例数が確保できそうである。
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今後の研究の推進方策 |
腫瘍組織DNAの変異解析と臨床病理学的指標との関連解析を進め、放射性ヨウ素治療抵抗性に関与する分子の同定を進める。
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