研究課題/領域番号 |
21K16397
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中西 香企 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (10836183)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 胃癌 / 肝転移 / KLRG2 / Transcriptome解析 / コンパニオン診断 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではKLRG2の胃癌細胞における機能、肝転移成立に関わるメカニズム、発現の意義を調べることにより、個別化治療を実現する分子標的治療薬およびそのコンパニオン診断法の開発につながる基盤データを得ることを目的として、以下を行う。 ● in vitro 実験:KLRG2ノックアウト胃癌細胞株を用いて、KLRG2の機能解析および干渉するsignaling pathwayの解析を行う。 ● in vivo 実験:マウス皮下腫瘍モデル、肝転移モデルにおけるKLRG2ノックアウトの造腫瘍能抑制効果を評価する。 ● 発現解析:胃癌症例から収集した胃組織・血清中のKLRG2発現の臨床的意義を検討する。
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研究成果の概要 |
胃癌肝転移はきわめて予後不良である。網羅的解析を肝転移に的を絞って応用し、肝転移特異的関連分子としてkiller cell lectin like receptor G2 (KLRG2)を同定した。安定的にKLRG2を喪失させた胃癌細胞株では、細胞増殖能、細胞遊走能、細胞接着能が低下した。KLRG2強制発現により癌細胞の増殖能が増加した。KLRG2は細胞周期関連分子のリン酸化に干渉していた。マウス皮下腫瘍では、KLRG2抑制により有意な造腫瘍能低下を示した。300例の胃癌手術検体を対象とした発現解析では、癌部KLRG2発現度が進行度のみならず累積血行性転移発生頻度に有意に相関していた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
胃癌腹膜播種においては、タキサン系薬剤の腹腔内投与を含めた新たな治療ストラテジーの開発が進んでいるものの、予後不良な肝転移においては新たな薬物療法の開発は進んでおらず、肝転移克服は重要な課題である。本研究では、次世代シーケンサーを用いた網羅的解析を肝転移に的を絞って応用することで独自性の高い標的分子KLRG2を同定し、その胃癌悪性形質形成における役割を明らかにした。この成果は、肝転移に特化した分子標的治療薬開発の糸口となる。
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