研究課題/領域番号 |
21K16404
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
洲尾 昌伍 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (40771019)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 神経芽腫 / 免疫治療 / 腫瘍浸潤リンパ球 / T細胞不活化分子 / CD200 / 神経芽種 / 免疫チェックポイント阻害剤 / 小児固形癌 / 免疫チェックポイント |
研究開始時の研究の概要 |
小児固形癌において再発をきたした症例や化学療法抵抗性の難治症例には有効な治療法がなく,新規治療法の開発が期待されている。一方,成人分野において癌治療の進歩はめざましく,近年は腫瘍免疫に着目した癌免疫治療が注目され、特にT細胞不活化経路は、腫瘍が宿主免疫を回避する機序の一つとして広く認知されている。その中でもPD-L/PD-1経路の阻害剤はすでに臨床応用され,現在最も注目されている薬剤の一つとなっている。小児固形癌においても腫瘍免疫に着目した新たな治療標的分子の探索、より効果的な治療法の開発には、癌の発生や増殖、成長維持に腫瘍免疫がどのように関連しているのかを解明することが必要である。
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研究実績の概要 |
小児固形癌において患者数の多い神経芽腫においてT細胞抑制分子発現の臨床学的意義を検討した.PD-L1はすでに免疫チェックポイント阻害剤として開発され,広く臨床的にも使用されている.小児神経芽腫においても臨床試験が行われたが,有効な結果は得られていない.神経芽腫では成人腫瘍に比して腫瘍細胞内の遺伝子変異量が少なく,腫瘍抗原が低いため,腫瘍浸潤リンパ球数が少ないことが免疫治療の効果が限定的となる要因として考えられている.そこで今回着目した標的分子はCD200である.CD200はレセプターに結合することでT細胞による免疫応答を抑制する.CD200はさまざまな腫瘍細胞上に出現していることが知られており,CD200高発現腫瘍では腫瘍浸潤リンパ球が少ないことが報告されている.これはCD200がT細胞の腫瘍浸潤を阻害することに関与していると考えられる.すなわち,腫瘍浸潤リンパ球が少ない神経芽腫ではCD200を治療ターゲットにすることで高い治療効果が得られる可能性がある. 神経芽腫におけるCD200発現についての報告は非常に少なく,まだ十分に検討されているとは言い難い.そこで今回神経芽腫生検標本,切除標本においてCD200の発現を評価し,臨床学的意義を検討した.化学療法施行前の生検検体あるいは一期的切除検体は47例あり,47例中CD200高発現群は25例,低発現群は22例であった.CD200高発現群において有意に生存率,無再発生存率が低かった(P=0.02,0.001).Stage4の症例では80%がCD200高発現であった.また化学療法施行後の切除検体における検討で,化学療法後にCD200高発現である症例では低発現群に比して有意に生存率が低かった(P=0.007).神経芽腫におけるCD200発現は予後に関連し,その要因として化学療法抵抗性に関わっている可能性が考えられた.
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