研究課題
若手研究
大腸以外の臓器に転移を認めるStage-IVの場合、転移巣(e.g.,肝転移、肺転移)も含めて肉眼的に根治切除をおこなう(この場合、Stage-IV根治度Bと呼ばれる)事で、術後の生存率を改善する事が多く報告されており、本邦のガイドラインでも根治切除が推奨されている。Stage-I~IIIの大腸癌と比べて術後再発割合の高い大腸癌Stage-IV根治度B症例において、ctDNA検査を用いて再発ハイリスク群を明らかにし、そのうえでハイリスク群に対する新たな治療戦略(再発サーベイランス、補助化学療法)の開発をおこなう。
本研究の目的は、患者血液由来ctDNA(血中循環腫瘍DNA)の解析を用いて進行大腸癌手術症例に対する、ctDNAを用いたMolecular profilingを用いた個別化癌戦略の有用性を探索する事である。昨年度報告した大腸癌患者の血液循環腫瘍細胞(CTC)を用いたスフェロイド培養モデルの樹立に関する研究に関しては、実際の手術患者から血液サンプルの採取を開始し、CTCの抽出と培養法の検討を引き続きおこなっている。また”肝転移を伴うStageIV大腸癌症例におけるosteoprotegerinの役割”の検討について、StageIV大腸癌においてosteoprotegerinの欠損が腫瘍関連マクロファージの活性化を介して肝転移を促進している可能性を示唆する論文を2023年12月にScientific reports誌にて報告した。また、進行大腸癌患者への個別化治療戦略開発の一つとして、新たに『閉塞性大腸癌に対するステント留置下での術前化学療法の有効性と安全性』を検討する臨床試験を立案し倫理審査申請まで進んでいる。また大腸癌Stage-IV肝転移症例においてキードラッグとなるオキサリプラチンの薬剤性肝障害を予測するための、患者肝細胞オルガノイドを使用した薬剤感受性試験の可能性を示した論文を2024年2月にCancer Medicine誌にて報告した。またUC San Diego Moores Cancer Centerのチームとの共同研究として、進行固形癌患者において組織DNAとctDNAでの遺伝子変異の一致率が患者予後に関わる可能性を示した論文を2023年9月にMolecular Oncology誌にて報告した。
2: おおむね順調に進展している
2022年度までコロナ禍で研究進行が遅滞していたが、社会的状況が回復したことにより、国内・国際学会への参加、研究交流などの機会が増え、研究活動として順調な進捗があったと考える。
進行大腸癌患者への個別化治療戦略開発である『閉塞性大腸癌に対するステント留置下での術前化学療法の有効性と安全性』に関して、2024年度内に多機関共同研究として症例集積を開始する予定である。その研究において、同時に患者血液検体を収集してctDNAの抽出・解析をおこなう計画としている。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 2件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (4件) 図書 (2件)
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