研究課題/領域番号 |
21K16426
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
伊地知 徹也 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 医員 (70791531)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 膵癌 / マイクロRNA / オルガノイド / 治療抵抗性 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者はこれまで膵癌・マイクロRNAの研究に従事し、膵癌で発現異常を認めるマイクロRNAを複数同定することでマイクロRNAが制御する膵癌分子経路を多数報告してきた。一方、当教室では癌患者の生検検体から「オルガノイド」(3次元培養癌細胞モデル)の作成に成功しており、薬剤感受性試験に応用し研究を進めてきた。今回膵癌切除検体から「膵癌・治療抵抗性マイクロRNA発現プロファイル」を新規作成し、これを「膵癌・オルガノイド」に応用し化学療法・放射線治療抵抗性の解析を行うことで治療抵抗性群の特徴を解明し、臨床応用することを着想した。本研究が革進的膵癌治療戦略につながることを強く期待する。
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研究実績の概要 |
「膵癌・治療抵抗性マイクロRNA発現プロファイル」に基づき、膵癌治療経過で発現変化しているマイクロRNAを指標にして、①膵癌の生物学的悪性度や治療抵抗性に関与する分子経路を解明すること、②膵癌患者から得られた組織よりオルガノイド培養を行い、化学療法や放射線治療抵抗性の検証および臨床応用を目標としている。 「手術単独」「化学療法後手術」「化学放射線療法後手術」の膵癌検体を用いて「膵癌・治療抵抗性マイクロRNA発現プロファイル」を作成し、膵癌治療経過において発現変動するマイクロRNAを同定し、更に標的遺伝子及び標的分子経路を探索している。2022年は新たにmiR-139及びmiR-30の膵癌に対する抑制効果を同定・証明した。標的遺伝子を介して膵癌遺伝子経路の解析を進めることが可能だった。更に、免疫チェックポイント阻害に着目し、PD-1、Tim-3、TIGITの膵癌に対する機能の研究も行い、治療抵抗性に至るプロセスを解析した。 これまでに同定された治療抵抗性に関連するマイクロRNA、遺伝子経路をin vitroにおいて検証を行う予定である。具体的には、まず膵癌由来の細胞株に、膵癌化学療法のキードラックであるGemcitabine(GEM)を添加することでGEM抵抗性膵癌細胞株を作成、更に細胞株に放射線治療を加えることで放射線治療抵抗性膵癌細胞株を作成中である。現在のところ、PANC-1(膵癌細胞株)を用いて治療を加え、継代しており抵抗性を獲得しているか遺伝子解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
膵癌関連マイクロRNAとして、新規にmiR-139及び、miR-30aの機能解析を行い、論文報告を行った。また免疫チェックポイントとしての、PD-1、Tim-3、TIGITと膵癌の関連を研究し今後の治療抵抗性の成因の一部を解明した。 膵癌オルガノイド、GEM抵抗性膵癌細胞株の作成も継続して行っており、臨床的症例の積み重ねも行っている。
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今後の研究の推進方策 |
治療抵抗性膵癌細胞株に現時点で膵癌抑制をきたす機能をもつマイクロRNA、標的遺伝子を中和抗体、siRNA、低分子inhibitorを用いて核酸導入し、細胞増殖能、アポトーシス誘導能、細胞遊走能、細胞浸潤能を指標にして膵癌治療抵抗性に関与するか細胞株レベルで証明する。 更に、膵癌患者の検体から膵癌細胞を提供してもらい、オルガノイド作成を行い、治療抵抗性マイクロRNA、標的分子経路が3次元培養レベルで証明できるか実験を行う予定である。
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