研究課題/領域番号 |
21K16444
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西尾 太宏 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (20899215)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 肝細胞癌 / 癌関連線維芽細胞 / 癌微小環境 / 筋線維芽細胞 / 肝線維化 / myofibroblast / 胆管癌 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性肝障害におけるmyofibroblastの活性化は、肝線維化および肝癌の進展に関与する。活性化されたmyofibroblastは多様な細胞集団であり、その特徴と活性化機序については十分に解明されていない。本研究では、肝障害の成因によってmyofibroblastへと分化する細胞起源が異なることに着目し、RNAseq解析とVisium空間的遺伝子発現解析によって、myofibroblastと癌関連線維芽細胞の起源特異的なマーカーと活性化機序について検証する。さらに、ヒトの手術標本と臨床データを用いた解析を行い、臨床に有用な抗線維化/抗癌治療の標的となりうるマーカーを探求する。
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研究実績の概要 |
1.マウス肝癌モデルにおける癌関連線維芽細胞CAF誘導:I型コラーゲンの発現をGFPで標識したreporterマウス(Col-GFPマウス)に対して、diethylnitrosamin (DEN)を使用した肝発癌誘導下に、CCl4投与による肝細胞性障害、コリン欠乏メチオニン減量高脂肪食(CDAHFD)による非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を誘発し、慢性肝障害に伴う肝線維化を背景とする肝癌のモデルを確立した。背景肝にはCol-GFPで標識される肝臓myofibroblastの増殖を確認し、さらに腫瘍内にも同様にCol-GFP陽性のCAFの浸潤が認められた。 2. マウス肝臓のCAFとmyofibroblastのトランスクリプトーム解析:上述の肝線維化を背景とする肝癌を誘発したマウス肝臓組織から1細胞ごとの核を抽出し、single nucleotide RNA seqによって、 CAFと背景肝のmyofibroblastの遺伝子発現プロファイルの解析を進めている。また、同じくマウス組織切片を用いて、Visiumによる空間トランスクリプトーム解析を行い、CAFとmyofibroblastの局在における遺伝子発現と腫瘍との関連性を検証する予定としている。 3.ヒト肝癌組織を用いた免疫染色と空間トランスクリプトーム解析:ヒトの肝癌手術標本の切片を用いて、これをαSMAやThy1などの線維芽細胞マーカーで染色し、背景非腫瘍部および腫瘍部の線維芽細胞浸潤を確認した。肝細胞癌では腫瘍被膜部位に、sirius red染色で標識される線維化部位に一致してαSMA陽性細胞の浸潤が認められた。マウス肝組織を用いたトランスクリプトーム解析と同様に、ヒトの肝癌組織切片を用いて空間トランスクリプトーム解析を行い、CAFとmyofibroblastの遺伝子発現マーカーの治療標的としての妥当性を検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウスによる動物実験において慢性肝障害および肝線維化を背景とした肝癌モデルを確立した。CCl4およびCDAHFD によるNASHのいずれのモデルにおいても、腫瘍内にCol-GFPで標識されるCAFの浸潤を確認できた。また、ヒト肝癌組織切片においても、背景肝の線維化領域だけでなく、腫瘍内にも線維芽細胞増生が認められ、CAFの浸潤が腫瘍増殖に影響する可能性が示唆された。 上述のマウス肝臓組織から、1細胞ごとの単一核の抽出が技術的に可能であることを確認したうえで、single nucleotide RNA seqの解析を進めている。また、マウス肝臓組織を用いた空間トランスクリプトーム解析の標本準備も並行して進めている。さらに、マウスのトランスクリプトーム解析の妥当性を検証する目的で、ヒトの組織切片を用いた空間トランスクリプトーム解析を予定しており、標本の収集と解析の条件設定を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
マウス肝癌モデルにおいて、single nucleotide RNA seqによる網羅的遺伝子発現解析を行い、CAFと非腫瘍部のmyofibroblastを特徴づけるマーカーの探索を予定している。また、CCl4障害とNASHの異なる肝障害モデルにおいて、CAFとmyofibroblastの遺伝子発現プロファイルの特徴を比較検証する。あわせて、マウス肝臓組織における空間トランスクリプトーム解析により、CAFとmyofibroblastそれぞれの遺伝子発現情報と組織学的局在を紐づけし、CAFとmyofibroblastの活性化マーカーと腫瘍増殖との関連性を検証する。また、マウスによる動物実験に並行して、実際の肝臓組織においてCAFの活性化マーカーの妥当性を検証することを目的として、ヒト検体を用いた空間トランスクリプトーム解析を予定する。HEやαSMA染色から同定される腫瘍内のCAFの局在と遺伝子発現プロファイルを照らし合わせることによって、CAFの活性化を制御し、治療標的となりうるマーカーの妥当性検証を目標とする。
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