研究課題/領域番号 |
21K16449
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
|
研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
近藤 彰宏 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (60790847)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | カウンタートラクション / 内視鏡外科 / 組織切除 / 内視鏡外科手術 |
研究開始時の研究の概要 |
適切なカウンタートラクション(組織への伸張)がなければ臓器損傷や手術時間延長をきたして外科手術は上手くいかず、結果として患者さんに不利益を与える可能性があります。通常カウンタートラクションは外科医の勘と経験で行われていますが、これの明確な数値化が実現できれば、様々な手術に活用でき、患者さんにとって利益があると考えられます。 本研究の目的は、組織切除時の適正なカウンタートラクションを評価・数値化し、この技術を利用した組織切除の有用性を明らかにすることです。本研究によって、①安全な手術を患者さんに提供すること、②より高精度な内視鏡手術支援ロボットの実現を臨床応用として想定しています。
|
研究実績の概要 |
カウンタートラクション定量化装置を用いた定量化技術評価のため、腹腔鏡手術用のドライボックスを用いて実験を行った。臓器は模擬臓器を利用し、3×4cm大にカットした模擬臓器を用いて実験を実施した。腹腔鏡手術をイメージし、内視鏡およびモニターを用いてモニターを視認しつつ術者は模擬臓器の切離を行った。カウンタートラクション定量化装置で把持した模擬臓器を対側は腹腔鏡用鉗子で把持し、その間を切離した。切離にあたっては、術者が適切と考えるトラクションをかけ、その間を電気メスで切離した。術者は内視鏡外科手術技術認定医(n=3)および非認定医(n=3)に分けて実験を行った。 結果、内視鏡外科技術認定医が切離を行った場合は非認定医が行った場合と比較して切離中のトラクションが一定に保たれる傾向があった。 上記結果は、手術の熟練医は切離中も常に適切なトラクションを自身で調整しつつ切離を進めていることが伺えた。 また内視鏡外科技術認定医が切離を行った場合は非認定医が行った場合と比較して、トラクション強度がやや高いことも示唆された。この結果は手術の熟練医は適切な組織切離を行うため、自身の経験からある程度しっかりした緊張をかけることが求められることを理解しているものと考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の予定では、実験を大動物を用いて行うことを想定していた。しかしながら、現行のカウンタートラクション定量化装置を大動物に適応することはセッティング面や実臨床に則しているか否かという点で難しく、何度も試行錯誤を重ねたものの難しい状況であった。大動物で実施するには現行の装置をさらに改良したもので行う必要があり、これには時間を要することがわかった。 大動物でなくても実験実施できる環境を計画し、上述の実験を進めているところであり、これは当初の計画より遅れている状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
研究期間を1年延長することを許可頂いた。そのため、昨年度実施した実験をはじめとして当初の研究計画とは少し異なるもののカウンタートラクション定量化装置を用いた定量化技術の有用性を評価する見通しは立っている。今後は昨年度実施した実験の術者数を増やして集積を重ねること(それぞれn=3づつを想定)、それによって適切なトラクションの絶対値(4分位範囲)を推定する。推定したトラクション値の4分位範囲で模擬臓器切離を行った場合の組織切離時間、サーモグラフィーを用いた温度変化(サーモグラフィーはすでに手元にあり)、切離した組織の病理切片の検討を行い、適切なトラクション値を探索する。
|