研究課題/領域番号 |
21K16466
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
堀内 真 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (90896086)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | Nrf2 / Keap1 / 食道上皮 / 細胞競合 |
研究開始時の研究の概要 |
食道の上皮細胞は均一ではなく、それぞれに個性を持っており、組織の中で数を増やすものもあれば組織内から排除されてしまうものもある。転写因子Nrf2は細胞を守る働きがあり、癌細胞における活性化は治療抵抗性につながることが知られている。しかしながら、Nrf2と上皮細胞同士の相互作用については不明な点が多く、Nrf2の活性化を獲得した細胞が排除されるのか拡大するのか、あるいはその分子メカニズムは不明である。本研究ではマウスモデルを利用してそれらの解明を目指し、癌細胞が組織内から排除されるにはどのようなメカニズムが必要かを明らかにし、新たな治療ターゲット創出を目指す。
|
研究実績の概要 |
食道上皮において細胞ごとにNrf2の活性化レベルは異なると考えられる。本研究の目的は、Nrf2の活性化と細胞競合・細胞相互作用の関係性を明らかにすること、それらNrf2の細胞競合と食道上皮の発癌の関係性を明らかにすることである。 Nrf2は定常状態ではKeap1によって抑制制御がかけられており、Keap1の欠失マウスはNrf2の活性化を維持することが知られている。 食道上皮の一部の細胞にKeap1の欠失を誘導しても、Nrf2の活性化を食道組織内で維持することができないことが、これまでの我々のデータから明らかになっている。また、Keap1の欠失を誘導した細胞は基底層における接着因子であるCol17a1の発現が低下していることも明らかとなり、Nrf2活性化細胞は基底膜に居座ることができずに組織内から排除されることがわかった。上記の細胞競合現象と発癌の関係性を明らかにするべく、4-Nitroquinoline 1-Oxide (4NQO)を経口投与するマウスの食道発癌モデルを用いた実験を行った。Keap1を食道上皮で部分的に欠失させたマウスで発癌が促進されたが、それらの腫瘍はKeap1の欠失を免れた正常細胞であった。Keap1の欠失を免れた細胞を免疫染色で観察すると、細胞増殖マーカーであるKi67とDNA障害マーカーであるγH2A.X.が陽性となり、Keap1の欠失細胞が周囲の正常細胞に増殖・細胞障害を誘導していることが示唆された。Keap1を部分的に欠失した食道上皮をSingle cell RNA seqにて解析すると、Keap1欠失細胞が上皮内に存在することで正常細胞の増殖が促進されていることがわかった。 ・今年度の成果 上記現象のさらなる詳細解明を目指し、研究方法を検討しているが、培養細胞の実験系が確立できておらず、研究方法を模索中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね仮説通りの結果が得られたため。 さらなる詳細解析を検討中。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの研究結果から、Nrf2活性化細胞は食道上皮から細胞単位で排除されること、Nrf2活性化細胞が存在することで周りの正常細胞の増殖能が亢進すること、Nrf2活性化細胞が存在することで正常細胞の癌化を促進することがわかった。Nrf2活性化細胞が周りの正常細胞にどのように影響を与えるかという具体的な メカニズムは不明のままであるので、培養細胞を用いた競合実験や組織培養の実験系を検討中である。
|