研究課題/領域番号 |
21K16499
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
川尻 英長 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40515235)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 生体内組織工学 / 自家移植 / 同種移植(親子間移植) / 異種移植 / 臨床応用の拡大 / 脱細胞化処理 / 物理特性最適化 / 化学処理 / 同種移植 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では既に臨床応用で良好な治癒経過を確認した生体内組織工学で作製した自家移植用代用血管の応用拡大を目的として同種移植を実現するための脱細胞処理方法の最適化を行う。移植後の組織再生を誘導する増殖因子や glycosaminoglycan・タンパク成分を出来るだけグラフトに温存することにより、急速な再生を実現できるグラフトを開発する。脱細胞化処理を最適化し、最終的には実験動物の動脈に同種移植することにより、これまでの自家移植と比較。宿主体内での治癒過程・移植後の物理特性の経時的変化をフィードバックし、最適な処理方法を開発、将来的な同種移植への臨床応用を目指した研究開発を行う。
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研究実績の概要 |
引き続き他科由来のグラフトを応用する技術開発のために、結合組織代用血管に化学処理・脱細胞化処理を加える実験を行った。 本年度は主に脱細胞処理法についても見直しを行った。まずこれまで行ってきた界面活性剤を灌流する方法を改良することにより、生体内組織工学代用血管の脱細胞化処理短縮を試みたが、還流法で全体で約7時間までの短縮が可能となった。 処理法そのものについても以前用いて還流法から、さらなる手技の簡略化および短縮を目指して別の方法を導入した。グラフトが粗な構造であるため通常の生体血管の脱細胞処理よりも短時間かつ簡便な処理法の適用が可能と考えた。そこでより処理効率を高めるために、これまでの様に少量の処理液を還流する方法ではなく、大量の処理液中に作成したグラフトを浮遊させ強く振盪する方法を導入した。本法では複雑な還流設備が不要であるだけではなく、閉鎖された空間での清潔操作が確保しやすいという利点がある。さらに一度に大量の組織を処理できるため作業効率の向上が可能となる。従来法と比較して本法を用いた処理後の組織の評価ではより短時間で十分な脱細胞化が行えることが組織学的評価およびDNA定量で確認できた。また物理特性計測システムを用いて処理前後の検体を比較したところ、脱細胞後も十分な強度が保持されていることが確認できた。頸動脈への同種パッチ移植試験では短期で良好な結果が得られつつある。今後の産業化を想定するとこの振盪法は、他科由来脱細胞化組織作成の工程の簡便化・迅速化・効率化につながるものと考えさらに研究を継続する予定である。 今後は本処理法の最適化条件を検討し、更なる効率化を目指す。また実際に作成した組織の他科移植動物実験を積極的に行い、グラフトとしての有用性を検討するとともに、合わせて今後はこれまで行ってきた自家移植実験との比較も開始したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述のごとく今年度は脱細胞化処理の最適化に集約して研究を行ったため、年度内に予定していた動物移植実験の一部は主に次年度に行うこととなった。 やや移植実験は遅れ気味ではあるが、ほぼ順調に予定の研究は進行しており、徐々に成果報告も開始している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度開始した大量の処理液を用いて強く振盪する脱細胞化処理について様々な溶液の濃度・量、振盪処理条件を比較することにより、組織学的検討・DNA定量をもとにさらに最適化・効率化を目指す。さらに処理後の組織の物理特性計測を行うことにより物理的強度を安全に保つことが出来る処理条件を検討する。その後引き続き短期~中期の他科移植実験を継続する。合わせてこれまで行ってきた自家移植実験との比較も開始したいと考えている。
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