研究課題/領域番号 |
21K16506
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
椎谷 洋彦 北海道大学, 大学病院, 医員 (40897592)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 虚血再灌流傷害 / 肺移植 / 虚血再灌流障害 / 慢性拒絶 / 抗炎症薬 |
研究開始時の研究の概要 |
肺移植は末期呼吸不全に対する根治的治療法であるが、肺移植後の安定した長期生存のためには、慢性拒絶を誘発しない新たな免疫抑制法の確立が重要な戦略となる。肺移植時の虚血再灌流障害は、移植後の短期成績に重大な影響を与えるのみならず、その後の慢性拒絶の発症にも影響する。 本研究は、細胞移植時の抗炎症効果、細胞保護効果が確認されている新規エリスロポエチンアナログを用いた免疫抑制法をラット肺移植モデルに応用し、虚血再灌流障害に対する新規治療法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
ラット虚血再灌流障害モデルについて、偽手術群、虚血再灌流傷害群、抗炎症薬投与群をそれぞれ施行し、摘出肺の評価を行った。摘出した左肺の一部をオーブン処理し、wet/dry ratioを算出したところ、偽手術群よりも虚血再灌流傷害群でwet/dry ratioが高く、手技により虚血再灌流傷害が引き起こされていることが確認できた。また、虚血再灌流障害群よりも抗炎症薬投与群でwet/dry ratioが低く、抗炎症薬の投与により肺の浮腫の程度が軽減されている傾向が認められた。摘出肺についてヘマトキシリン・エオジン染色で血管周囲の浮腫の程度の評価、ミエロペルオキシダーゼ染色で好中球浸潤の程度の評価を行ったところ、偽手術群よりも虚血再灌流傷害群で血管周囲の浮腫が強く、好中球浸潤の程度も強いことが確認され、手技により虚血再灌流傷害が引き起こされていることが確認できた。また、虚血再灌流傷害群よりも抗炎症薬投与群で、血管周囲の浮腫の程度が軽減されている傾向が認められたほか、好中球浸潤の程度も軽減している傾向が認められたため、抗炎症薬の投与により虚血再灌流傷害が軽減される傾向が確認された。さらに、残りの肺組織内のサイトカイン発現について、リアルタイムPCRを行い、抗炎症薬によるサイトカイン発現の軽減効果の評価を行っている最中であるほか、CD68染色を行いマクロファージの浸潤の程度の評価、TUNEL染色を行いアポトーシスを起こした細胞数の評価をおこなっている。この一連の実験に並行して、手技の習熟により、一連の実験系が再現性をもって施行できることを再度確認するとともに、試行回数を増やすことで、結果の確実性を強固にしているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度まで、研究者の異動およびCOVID-19により研究の導線の確保が断続的となったほか、最新の知見を盛り込んだモデルの再検討に時間を要していた。このため、モデルの作成、再現性の確認や、解析の条件検討に時間を要していた。また、追加入手できる新規抗炎症薬の数量に制限があることが判明し、研究計画についてより綿密に施行する必要が生じたため、手技をより精密にするための時間を要していた。本年度より、予定していた実験を行うことができ、現在進行している最中である。
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今後の研究の推進方策 |
スウェーデンより入手した新規抗炎症薬を用いて、確立されたラット虚血再灌流障害モデルにおいて、その効果を確認する。現在施行しているwet/dry ratioや病理学的評価に加えて、リアルタイムPCRやELISAによりサイトカインの発現量を確認することや、試行回数を増やすことにより、新規抗炎症薬の効果をより強固に確認する。その後、ラット肺移植後拒絶モデルにおいても、新規抗炎症薬の効果を検証する。効果が認められれば、試行回数を増やすことにより、その効果をより強固に確認する。
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