研究課題/領域番号 |
21K16525
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
森 彰平 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (30648100)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 一酸化窒素吸入 / VV-ECMO / ARDS / ラット |
研究開始時の研究の概要 |
重症肺炎に対する呼吸ECMOによる治療は、人工呼吸器による高濃度酸素・高換気圧を回避(肺保護戦略)しつつ肺組織が修復するまでの期間を凌ぐための生命維持治療である。呼吸ECMOによる肺保護戦略に加えて、積極的に肺障害に介入する治療の開発が求められている。そこで、本研究では一酸化窒素の血管拡張、抗炎症、血小板凝集抑制作用に着目し、我々が新規に開発し研究を継続しているラット呼吸ECMOモデルを用いて、重症肺炎に対する呼吸ECMO環境下における一酸化窒素吸入の肺組織における治療効果と生体に与える影響を動物実験で明らかにする。
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研究実績の概要 |
ARDSに対するVV-ECMOによる肺保護戦略は人工呼吸器による肺へのダメージを回避し、自己の肺修復を待つ治療であり、積極的に肺の修復を促すわけではない。予後改善のための更なる治療の開発が求められている中で、NO吸入がARDSにおけるVV-ECMOの肺保護戦略に上乗せして肺血流の増加作用や血栓形成抑制作用、好中球の接着抑制作用、代謝産物であるNO2-による細胞保護作用予防により、肺組織の修復・正常化を促進させる可能性があると考え、本研究を計画した。2022年度は、2021年度に実施した本研究の基礎となるラットの急性肺障害モデルにおける体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation, ECMO)の循環動態に及ぼす影響と血液ガスの酸素化・脱二酸化炭素化への影響を明らかにする動物実験の研究成果を、2022年5月に開催された第39回日本呼吸器外科学会学術集会で発表した。2022年度は、2021年度中に構築したNOガス供給回路を用いて本実験を開始した。ラットの急性肺障害モデルを用いて、1) 通常換気 2) 通常換気+NO吸入 (20 ppm) 3) VV-ECMO下の肺保護換気 4) VV-ECMO下の肺保護換気+NO吸入 (20ppm)の4群でそれぞれ実験を進めた。1) 通常換気 2) 通常換気+NO吸入 (20 ppm)群の実験は計画通り終了し、解析のための検体を保存した。2022年度終了時点で、3) VV-ECMO下の肺保護換気は30%の実験を終了し、 4) VV-ECMO下の肺保護換気+NO吸入 (20ppm)は20%の実験を終了している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
NOガス供給に必要な微量流量計が実験中に破損があった。そのため、計画されていたNOガス投与を必要とする群の実験ができなかったため、実験計画に一部遅れが出た。現在、製造基に代替品を依頼している。一方でNOガス投与なしの群の実験を優先的に行い、順調に終了している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、3) VV-ECMO下の肺保護換気 4) VV-ECMO下の肺保護換気+NO吸入 (20ppm)群の実験を進行する。実験終了後は保存検体の組織学的評価(組織学的肺障害スコア、肺胞上皮細胞のアポトーシスの頻度、微小血栓形成の程度)、血液生化学(炎症性サイトカイン測定(IL-1β, IL-6, IL-8, TNF-α)、肺組織RT-PCR: platelet activating factor, protease-activated receptor (PAR-1), PAR-2, PAI-I, t-PA, 肺表面活性物質アポ蛋白遺伝子SP-A、SP-B、のmRNAの発現量定量)の比較・解析を行いARDSに対するVV-ECMO環境下におけるNO吸入療法の治療効果と生体に与える影響を検討する。研究結果は、国内・国外の外科・呼吸器関連の学会、及び論文での発表を行う予定である。
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