研究課題/領域番号 |
21K16533
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
紺野 大輔 東北大学, 大学病院, 助教 (20876479)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | せん妄 / 術後せん妄 / 遺伝子解析 / 前脳基底部 / 術後せん妄モデル / RNAシークエンス / 遺伝子発現 / パスウェイ解析 / マウス敗血症モデル / 単一細胞遺伝子発現解析 |
研究開始時の研究の概要 |
手術後せん妄(POD)の脳内の発症機序はいまだ不明である.本研究では脳の前脳基底部(BFB)に注目し,マウスPODモデルにおけるBFB内の1細胞ごとのすべての遺伝子発現変化を計測して,細胞間・細胞集団間・遺伝子間で比較し,マウスのPOD様行動との関連を検討する.3年間で計画している具体的な項目は,1)開腹手術を施したマウスPODモデルの確立,2)BFBにおける単一細胞ゲノム網羅的全遺伝子発現解析,3)PODへの関与が示唆されるパスウェイの同定である.本研究により核酸医薬を含めたPODの予防薬や治療薬の開発が期待できる.PODの脳内機序の解明は術後の認知機能の維持や神経系合併症の予防に貢献する.
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研究成果の概要 |
手術後せん妄の発症機序は未だ不明である.本研究では,前脳基底部(BFB: basal forebrain)に着目し,BFBの遺伝子発現変化を捉えることで手術後せん妄の分子機序を解明する.全身麻酔下腹部手術を施行したマウス(S群),全身麻酔のみのマウス(A群),無処置のマウス(N群)において,高架式十字迷路を用いた行動実験を行い,S群とA群でせん妄様の行動変容を認めた.3群のBFBからmRNAを抽出,遺伝子発現解析を行い,147遺伝子で有意な発現変化を確認した.特に中枢型アセチルコリン性受容体をコードするchrna3遺伝子の発現は,せん妄様行動後にBFB内で5.3倍に増加していた.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
手術後せん妄は,入院期間の延長・認知機能障害の残存・死亡の増加に繋がる.もっとも研究されてきた仮説は海馬での炎症モデルであるが,分子レベルでの詳細な脳内機序は現在,ほとんど明らかになっていない. 本研究の独自的な点は, BFBに着目したことであり,BFBにおける遺伝子発現変化を観察した研究は皆無であった.本研究は,せん妄様行動を呈したマウスのBFBにおける全遺伝子発現量を観察した初の研究であり,147遺伝子の有意な発現変化を確認できた. 申請者は継続して研究を続けており,本研究が手術後の認知機能の維持および健康寿命の延長とともに,本邦の手術医療の長期成績の向上に繋がると確信している.
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