研究課題/領域番号 |
21K16537
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
松島 淳 佐賀大学, 医学部, 助教 (90773151)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 慢性痛 / オキシトシン / 自閉スペクトラム傾向 / 心理社会的要因 / トランスレーショナルリサーチ / 自閉スペクトラム症 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性痛は複合的な要因で痛みが慢性化している状態とされ、器質的要因だけでなく抑うつ、不安、破局的思考といった心理社会的要因の関与が明らかになっている一方で、それらにどのような生化学的指標が関わっているかは明らかにされていない。 本研究は、近年、痛みの緩和にも種々の精神疾患の治療にも注目されてきているオキシトシンに着目し、慢性痛と心理社会的要因との関連、さらにオキシトシンをはじめとする生化学的指標との関連を分析し、痛みが慢性化するメカニズムを解明することを目的とする。すなわち、本研究は、慢性痛に対するオキシトシンの臨床的応用の可能性を探る基礎研究から臨床応用へのトランスレーショナルリサーチである。
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研究成果の概要 |
本研究では、慢性痛治療に対するオキシトシンの治療的可能性を探るために、慢性痛患者を対象にその痛みの性状や程度だけでなく、さまざまな心理社会的要因やオキシトシンをはじめとする生化学的指標を経時的に測定し、それらの関連について定量的に解析した。その結果、痛みの軽減傾向、特に間欠痛の有意な軽減に並行して、唾液中オキシトシンと友人によるサポートが有意に増加していることが示された。また、自閉スペクトラム傾向が高いほど唾液中オキシトシンが増加しにくい傾向が示され、痛み軽減にオキシトシンが働く際に自閉スペクトラム傾向が関与している可能性が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
慢性痛は有効な治療法が確立されておらず、生活機能やQOLが低下した状態が長期化してしまうことで患者の個人的損失だけでなく社会経済的損失も甚大とされている。特に、精神疾患や心理社会的な問題が合併すると病態がより複雑になり難治化する。近年、オキシトシンが痛みの緩和作用や種々の精神疾患との関連でも注目されており慢性痛に対する治療的応用も期待されているが、動物モデルを用いた急性痛に対する鎮痛効果は明らかになっているものの、ヒトを対象とした慢性痛に対する有用性を検証した研究は非常に少ない。本研究では、実際の慢性痛患者を対象として痛みと心理社会的要因、そしてオキシトシンとの関連性を検討した点に意義がある。
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