研究課題/領域番号 |
21K16556
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
木下 裕貴 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (70897660)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 術後譫妄 / 脳波 / α波 / 脳内炎症 / 高齢者 / 好中球・リンパ球比 / 血小板・リンパ球比 / うつ / 炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
術後譫妄は、加齢に伴う神経変化に周術期ストレスが加わることで脳内炎症が惹起され、発症すると考えられている。より早期かつ簡便に脳内炎症を検知し、術後譫妄を予測する可能性のある方法として全身麻酔中の脳波測定があげられる。全身麻酔薬として使用されるプロポフォール、セボフルラン、デスフルラン、2020年に日本で承認されたレミマゾラムベシル酸塩等の各種麻酔薬や炎症による脳波の差異が、術後譫妄とどのように関連するかを検討し、術後譫妄早期発見のためのアルゴリズムを算出することを目指す。
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研究実績の概要 |
本年度に関しては、昨年度にデータ収集が完了した頭頚部癌・食道癌根治術手術患者における脳波データの解析を進めた。麻酔導入後譫妄患者はα波の比率が低くδ波が高かったが、非譫妄患者においては経時的にα波が減少しδ波が増加するという傾向がみられた。麻酔導入後の譫妄予測のための最適なパラメータを検討したところ、δ波、δ波/α波が最もAUCが高く0.783であった。以上の結果について、European Society of Intensive Care Medicine 2022で発表した。また、頭頚部癌・食道癌根治術手術患者における術中のα波が術後譫妄の予測に有用であることをAnesthesia and Analgesia誌で報告した。 昨年度から実施しているデスフルラン下の全身麻酔中の脳波変化と譫妄の関連については継続中である。また、本邦におけるレミマゾラムの使用制限が解除されたため、レミマゾラムを用いた麻酔導入後の脳波解析に関しても研究計画し、研究実施に関して倫理委員会へ申請中である。 上記に加えて一般住民健診である「岩木健康増進プロジェクト」のデータを解析し、脳内炎症を示唆する好中球リンパ球比が男性のうつ状態と関連することをScientific Reports誌で報告した。好中球リンパ球比と脳内炎症に関しては、悪性腫瘍手術の術前の好中球リンパ球比が術後譫妄と関連することを報告してきた。本年度は良性疾患である脊椎手術の術前の好中球リンパ球比が術後譫妄を関連するか検討したが、関連を認めなかった。上記の内容に関して現在論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
レミマゾラムの使用制限等の理由から脳波解析の研究については進めることができなかった。一方で、術後譫妄や一般住民におけるうつ病と脳内炎症に関するデータ解析・発表に関しては予定通り進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
レミマゾラムの脳波解釈に関しては現在も報告が少ない。 最終年度では、レミマゾラムの脳波解釈について、次いで加齢に伴うレミマゾラムによる脳波変化について解析を行うことを目標とする。
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