研究課題
若手研究
静脈麻酔薬プロポフォールは、副作用として血管痛や致死性の高いプロポフォール注入症候群を起こす。これら副作用の発症機序に根差した治療法策はなく、その開発は臨床上急務である。これまでに、申請者らは、プロポフォールは、①細胞内カルシウムを動員すること、②in vitroで様々なPKC分子種を活性化し、細胞内のPKCの局在変化を引き起こすこと、③細胞内in vivoにおいて、PKCを活性化することを見出した。本研究課題は、PKC活性化がプロポフォールの副作用発現の鍵となると考え、その作用機序をイメージングや網羅的解析方法を駆使して詳細に解析し、その成果から副作用克服の方策を得ることを研究目的とする。
プロポフォール誘発性PKCトランスロケーションには、cPKCのC1およびC2ドメインが、nPKCのC1Bドメインが関与していることが明らかとなった。形質膜、ゴルジ体において臨床使用濃度のpropofolがPKCを活性化していることをPKC活性化インジケーターのCKARにて明らかにした。プロポフォールはPKCに限らず様々なタンパク質の核内外の濃度を均一にさせる性質があることを明らかにした。高用量のレミマゾラムは、GPCR-IP3経路を介して用量依存的に細胞内カルシウム濃度を上昇させることを明らかにした。
プロポフォールは、全身麻酔薬や鎮静薬としても頻用される静脈麻酔薬であるが、副作用として高頻度で血管痛を発生する。また、致死性の高いプロポフォール注入症候群も知られる。これら副作用の発症機序に根差した治療法策は未だなく、その開発は、本麻酔薬の安全使用のためには臨床上急務である。本研究成果により、これらの副作用の発揮には、プロポフォールが細胞内各所にPKCを誘導すること、さらにその部位でPKCを活性化させることが関与している可能性が示された。また、レミマゾラムにおいても、細胞内カルシウム上昇がプロポフォールと同様の機序で、副作用の発現に関与する可能性が示された。
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