研究課題/領域番号 |
21K16570
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
吉田 省造 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 特任教授 (40339346)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 血管内皮障害 / 糖尿病 / 血管内皮グリコカリックス / 高血糖 / グリコカリックス |
研究開始時の研究の概要 |
健常な血管内皮細胞の内腔面に存在して微小循環の恒常性を維持しているグリコカリックス層 (GCX) は高血糖において障害される。炎症と高血糖は負のスパイラル関係にあり、実際、重度の炎症を伴う敗血症患者では高血糖が合併して重症化する。そもそも膵ランゲルハンス島の毛細血管内皮細胞は内皮細胞自体に小孔を持つ有窓型毛細血管であり、その小孔を通してインスリン顆粒は血中に分泌される。本研究では、敗血症により毛細血管が傷害され、インスリン顆粒の小孔を通した血中への分泌が障害されて高血糖を生じるという仮説を元に、敗血症性血管炎モデルでの膵毛細血管内皮障害とインスリン分泌不全の関連を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2型糖尿病患者では罹病期間が長くなるにつれて、血糖コントロールが悪化することが知られている。この背景には進行性のインスリン分泌不全の進行が考えられるようになってきた。そこで、2型糖尿病に出現するインスリン分泌不全の進行に膵臓の血管内皮グリコカリックス障害を通した毛細血管障害が関与している可能性について2型糖尿病モデルとしてdb/dbマウスを使用し、4週齢、6週齢、9週齢、12週齢で採血を行い血糖値並びに血中インスリン濃度を測定した。dbマウスの血糖値は6週齢から12週齢にかけて上昇している。血中インスリン濃度は9週齢まで上昇後、12週齢では低下する。9週齢から12週齢まで血糖値に対して血中インスリン濃度は低い状態が続き、インスリン分泌不全といえた。膵ランゲルハンス島のサイズを計測したところ、db/dbマウスではWTマウスに比べ6週齢、9週齢ともに有意に膵臓のランゲルハンス島のサイズが増大しておりランゲルハンス島の過形成が認められた。また免疫染色でインスリンを描出し、インスリンを産出するβ細胞数を計測したところ、db/dbマウスではWTマウスに比べ6週齢、9週齢ともに有意に細胞数は増加しランゲルハンス島の過形成はβ細胞の増殖による影響を受けていると考えられた。また膵ランゲルハンス島の血管内皮の超微形態を観察したところ有窓型毛細血管の形態を示し、グリコカリックスは正常マウスでは孔構造を覆うようにグリコカリックスが存在するのに対しdb/dbマウスではグリコカリックス構造が崩壊し内皮が血管腔に露出していることが確認できた。また、膵臓のランゲルハンス等に存在する血管内皮の小孔構造について着目すると健常マウスに比して糖尿病マウスでは小孔の拡大がみられ、血管や細胞周囲に浮腫の形成が認められ、インスリン分泌不全の原因のひとつとして微小循環障害の存在が示唆された。
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