研究課題/領域番号 |
21K16612
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
末廣 諭 愛媛大学, 医学系研究科, 助教 (50775012)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 5-aminolevulinic acid / photodynamic diagnosis / heme synthesis / glioma / stem cell / Enhance / 超音波力学療法 / 光線力学的診断 / Dynamin2 |
研究開始時の研究の概要 |
悪性グリオーマでは5-ALAの経口投与により、その代謝物であるPpⅨが腫瘍細胞に特異的に集積し、超音波増感剤としても利用できることが分かっている。我々はこれまでに5-ALA併用SDTの腫瘍特異的な有効性(apoptosis)を確認している。本研究では対象を腫瘍幹細胞に拡大し、作用機序を解明することで、5-ALA併用SDTを非侵襲的な新たな治療法として確立する。 また、PpⅨの排出に関して新たにDynamin2が同定され、既存の薬剤で阻害することで蛍光強度を増強出来ることが明らかとなった。これによってSDTの相乗効果を図ると共に、従来手術中に行われている光線力学的診断の精度向上を図る。
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研究実績の概要 |
悪性グリオーマに対する超音波力学療法をより効果的に行う為に、超音波増感剤となる5-aminolevulinic acid(5-ALA)の代謝産物であるプロトポルフィリンⅨ (PpⅨ)の蛍光強度を上昇することで、抗腫瘍効果の上乗せを狙い研究を開始し、当初はPpⅨの排出に関して新たに同定されたDynamin2を、Sertralineで阻害することによって蛍光強度を増強出来ることが既存の報告で明らかとなっており、Sertralineでの検討を行っていたが、PpⅨの蛍光増強の為には既存薬のベルベリンがこれまで検討したものより、より効果的に作用することが明らかとなった。ベルベリンと5-ALAを使用することで、グリオーマcell line(U251 and two huma Glioma Stem-like Cell (hGSLCs))とmouse Glioma stem cell(mGSC)において蛍光強度が増強されることを、フローサイトメトリーにて解析し確認した。またin vivoでマウスに各種細胞を移植したグリオーママウスモデル(GBM model mouse)においては、5-ALAとベルベリンを腹腔内投与することで、実際の形成された腫瘍の蛍光強度が増加することを肉眼にて確認していたが、今年は脳腫瘍モデルマウスでも同様の結果を確認し、蛍光強度の測定を行い実証した。その機序に関しては、ヘム生成の律速酵素である5-Aminolevulinate Synthase 1(ALAS1)に着目して更なる検討を行い、ウェスタンブロット法で活性を評価し、脳腫瘍モデルマウス(mGSC)において蛍光強度と活性型ALAS1に相関関係があることを確認し、ヘム生成の活性が5-ALA PDD(photodynamic diagnosis)に影響していることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
5-aminolevulinic acid(5-ALA)の代謝産物であるプロトポルフィリンⅨ(PpⅨ)の蛍光強度を上昇することで、超音波力学療法の抗腫瘍効果の上乗せを狙い研究を開始したが、既存薬のベルベリンがこれまで検討したSertralineと比較して、より効果的に作用することを明らかにできた。ベルベリンと5-ALAを使用することで、グリオーマcell line(U251 and two huma Glioma Stem-like Cell (hGSLCs))とmouse Glioma stem cell(mGSC)のみならず、in vivoでも実際の形成された腫瘍の蛍光強度が増加することを確認し、また脳腫瘍モデルマウスでも同様の結果を確認したことは結果として意味がある。当初の超音波力学療法の増強は確認出来ていないが、PpⅨ増強の機序に関して5-Aminolevulinate Synthase 1(ALAS1)に着目して更なる検討を行い、蛍光強度と活性型ALAS1に相関関係があることを確認し、ヘム生成の活性が5-ALA PDD(photodynamic diagnosis)に影響している可能性を確認した。ここまでの内容は論文化して投稿を行っている。PDDは術中診断であるが、現在すでにグリオーマ手術で広く行われている方法であり、その精度や感度上昇の可能性がある、本研究の結果は実際の臨床での使用の可能性がある点で、意義があると考える。
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今後の研究の推進方策 |
ベルベリンによる5-aminolevulinic acid(5-ALA)の代謝産物であるプロトポルフィリンⅨ(PpⅨ)の蛍光強度を上昇することを脳腫瘍モデルマウスでも実証し、その機序にヘム生成が関連していることを見出したので、研究結果を論文化し、acseptされた。今後は当初の目的である超音波力学療法に実際に応用して、効果を検証していく。超音波力学療法の実験系の確立が難しい場合には、腫瘍細胞内でのPpⅨ濃度の上昇による、抗腫瘍効果に関して検証を行う。
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