研究課題/領域番号 |
21K16641
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
三島 有美子 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (90459082)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 血管内皮細胞 / 細胞老化 / フローダイバーター / 酸化ストレス / ァイトケミカル / 血栓溶解阻害物質 / 血管新生 / ファイトケミカル / 血管内皮細胞被覆モデル / 血管平滑筋細胞 / ルテオリン / 血管内皮細胞再生促進因子 / 間葉系幹細胞 / エクソソーム / miRNA |
研究開始時の研究の概要 |
大型脳動脈瘤に対するフローダイバーターを用いた血管内治療は低侵襲、かつ有用である。フローダイバーターはその名の通り、血流 flowを転換 divertさせるデバイスで、瘤内への血流停滞により瘤の血栓化および瘤柄部の血管内皮細胞再生を惹起し治癒に至ると考えられている。 しかしながら、血管内皮細胞の役割や被覆のメカニズムについては未だ明らかでない。 本研究では、血管内皮細胞再生を促進する因子の解明を目的に、血管内皮細胞、血管内皮前駆細胞、間葉系幹細胞、動脈瘤治癒に関わる因子の相互作用を解析する。本研究の成果により、内皮細胞再生促進効果のある創薬やデバイス開発への道を切り開くことが可能となる。
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研究実績の概要 |
前年度は抗酸化性成分によるPAI-1の産生抑制および老化抑制効果について検討を行った。抗酸化性成分としては、ポリメトキシフラボノイド系化合物、およびクマリン系化合物ライブラリィを中心に、抗酸化力を有する植物由来の機能性成分33種類の検討を行った。まず、老化特異的マーカーであるβガラクトシダーゼ染色による評価を行い、より老化抑制が確認された成分に関してPAI-1、SIRT1(老化抑制)、EphA2(血管新生)のqPCRを行った。結果、PAI-1の発現を減少、SIRT1の発現を上昇、EphA2の発現を減少させ得る成分を同定できた。今年度は同定したファイトケミカルの生体への投与を視野に入れた濃度調整を検討しつつ、DLL4(血管新生)についてもqPCRを行い、PAI-1の発現を減少、SIRT1の発現を上昇、EphA2の発現を減少させることが判明した。今後は、老化マーカーの一つであるp53のリン酸化をWBで、VEGF(血管新生)をELISAにより定量化していく予定である。これにより、ファイトケミカル添加による細胞内シグナル伝達経路への影響を、より詳細に考察できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
内皮細胞再生促進に寄与する植物由来の機能性成分(ファイトケミカル)の探索に時間を要した。また、初年度よりフローダイバーター上の安定的な内皮細胞培養環境の構築に着手しており、フローダイバーター上の内皮細胞被覆過程を位相差顕微鏡、蛍光顕微鏡で観察した。しかしながら、フローダイバーターの形状が筒状であることや、特殊な網目構造、予期せぬ強い表面張力の力により、一定条件下での観察に難渋している。安定した血管内皮細胞被覆のためにフローダイバーターのコーティング材、血漿濃度、細胞播種量、培養方法(静置・灌流・震盪)など、現在最適化条件を引き続き検討していく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
細胞老化には様々な要因が存在するため、今後は細胞分裂を繰り返した老化や炎症刺激による老化以外にも、TGF-βを添加して線維化(老化した血管平滑筋細胞においては、TGF-β1/p53/PAI-1シグナル伝達経路の報告がある)を加速させたモデル、MGOを与えたモデルなど、更なる老化モデルの検討を行い、ファイトケミカル投与による老化抑制効果についてより詳細に解明していきたい。前年度は、血管線維化、動脈硬化、血栓症で上昇し、老化を誘導することが知られているPAI-1遺伝子について注目し、qPCR法にて遺伝子発現の状況を確認した。細胞老化による線維化は、血管動脈内皮を使用した今回の研究に大きく関与すると考えた。いくつかの効果が期待されるファイトケミカルを血管動脈内皮細胞に作用させた結果、PAI-1の発現を抑制させる効果をもつファイトケミカルを同定した。また、同様の方法でSIRT1遺伝子の活性、EphA2遺伝子の発現減少が認められるファイトケミカルを同定した。細胞老化には様々な要因やシグナル伝達経路が存在する。まずは、代表的な老化マーカー(WBでp53, qPCRでDLL4, FACSでSA-β-gal)について調べ、その経路を調査していく。また現在、フローダイバーターを使用した安定的な細胞培養環境の確立のために準備を進めている。まずは、フローダイバーター上に細胞が安定増殖出来るよう、足場となるコーティング剤を検討中である。また、フローダイバーター上の細胞増殖の様子を評価しやすいようGFPを発現する血管内皮動脈細胞を樹立した。これにより、蛍光での観察が可能になったが、フローダイバーターの形状が筒状であることや、特殊な網目構造、予期せぬ強い表面張力の力により、観察に難渋している。来年度はこれらの課題をクリアにしていく。
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