研究課題/領域番号 |
21K16653
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
奥津 弥一郎 京都大学, 医学研究科, 助教 (70887661)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 銀イオン / ストロンチウムイオン / チタン金属 / 機能性インプラント / 抗菌インプラント / titanium implant / antibacterial effect / silver ion / strontium ion / osteogenic effect / チタン製インプラント / イオン徐放 / 骨形成性 / 抗菌性 |
研究開始時の研究の概要 |
「インプラント周囲の骨形成促進し、かつ最適な濃度のAgイオン徐放性抗菌インプラントの開発」においては細胞実験、動物実験を通して、毒性・骨形成能・抗菌性を多角的に評価し、安全性・抗菌性・骨形成性を両立するインプラントを確立する。 「生体内での抗菌性を反映する生体外抗菌性試験法の確立」においては各種生体外抗菌性評価法と生体内抗菌性の結果を比較し、最も生体内抗菌性を反映する生体外抗菌性評価法を特定する。
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研究実績の概要 |
当研究ではチタンインプラント表面に骨形成促進作用を持つSrイオンと抗菌性を持つAgイオンを担持させる処理を行い、各種濃度のAgイオンを徐放させるインプラント群において抗菌性や骨結合性、毒性、作用機序などを明らかにしていく。 In vitroにおける抗菌性はAg濃度依存性に抗菌性を認めており、当初の予測した通りの結果を得ている。グラム陽性球菌、グラム陰性桿菌の代表的な菌である黄色ブドウ球菌、大腸菌において同結果を得ている。インプラント上での細胞培養における毒性評価・骨分化評価ではAg担持処理にて濃度依存性に細胞活性低下、骨形成関連タンパク発現の低下を認めている。 In vivoにおける抗菌性評価は複数の手法で行った。Agイオン最高濃度担持インプラントでは明らかな抗菌性を示したが、Agイオンの担持がやや低濃度のインプラントでは評価法によって結果は様々であった。ラット大腿骨へのインプラント埋入による骨結合性評価ではインプラント・骨結合性はAgイオン最高濃度担持インプラントであっても骨結合性は良好であった。最高濃度Ag担持インプラントの周囲組織は壊死組織・毒性を示唆する所見は認めていない。 また、in vivoにおける抗菌性を予測できるin vitro抗菌性評価法の確立については材料の多孔性・抗菌性物質の含有・徐放の程度により挙動が異なるため、一様に確立することは困難であると考えている。 また、現時点までの研究結果を、学会・研究会で発表を計4回行った。現時点での結果をまとめて論文作成し投稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由:実験の進捗程度としては80%程度であり、順調に経過している。 In vitro ①抗菌性評価:順調に経過しており、Ag濃度依存性に強い抗菌性を示しており、良好な結果を得ている。②細胞実験における骨形成性・毒性評価:Ag担持により細胞活性低下を認めている。骨分化・骨形成性評価ではAg担持によって、骨形成関連タンパクの発現の低下を認めている。 In vivo ③骨結合性評価(力学・組織評価):順調であり良好な結果を得ている。Ag濃度が最も高いインプラントにおいて有意なAgイオンの血中濃度上昇を確認しているが、上昇の程度は軽微なもので想定の範囲内である。インプラント周囲組織の評価では高濃度Agインプラントでも明らかな壊死組織・有毒性などは認めていない。④動物実験における抗菌性評価:インプラント周囲菌量・感染組織・浸出液・総合スコア評価を使用して、各種評価を行っているが、総合的には濃度依存性に抗菌性を発揮していると評価している。ただ、各種評価において結果が一致しているわけではない。 ⑤in vivoでの抗菌性を予測できるin vitro抗菌性評価:様々なインプラントで評価しているが、インプラントにより抗菌性物質の挙動が異なるため一様に評価することは困難であると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
in vitroとin vivoにおける結果の解離が、細胞毒性・骨結合性評価、抗菌性評価において認めている。実験条件を変えながら何度か繰り返しているが、やはりこの解離は存在するようで認めざるを得ない部分である。 今後の研究推進方策として、現時点での結果をまとめて論文化していくこと。学会・研究会・書籍などで研究成果を発信していく。
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