研究課題/領域番号 |
21K16673
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
濱崎 雅成 北海道大学, 大学病院, 医員 (60880044)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 変形性関節症 / 骨細胞 / 軟骨細胞 / 軟骨下骨 / 軟骨下骨の骨硬化 |
研究開始時の研究の概要 |
変形性関節症(OA)は、関節内組織の変性、骨形態の変形、関節痛を主訴とする関節疾患である。申請者はこれまで、関節内の軟骨破片が関節内マクロファージを活性化し、滑膜炎の発症、軟骨下骨の肥大と硬化に関与することを明らかにした。本研究では、臨床検体からの軟骨細胞と骨細胞による共培養、骨代謝に影響を与える骨細胞由来因子の網羅的遺伝子発現解析、モデル動物を用いた解析を行うことで、OA進行予防に対する治療薬開発のためのターゲット分子の同定を目指す。本研究による知見は、今まで対症療法しか存在しなかった変形性関節症の治療に対して、一石を投じるものであり、今後の治療方法に変革をもたらす可能性がある。
|
研究実績の概要 |
近年、軟骨との相互作用により軟骨下骨の骨代謝が調節されているとの報告が散見されるが、軟骨の主要細胞成分である軟骨細胞が骨細胞の機能に及ぼす影響は知られていない。本研究では、軟骨細胞の異化は軟骨下骨の骨細胞の機能低下を及ぼし、初期の変形性関節症(OA)に見られる軟骨下骨の骨代謝変化をもたらすという仮説をもとに、OAにおいて軟骨細胞が軟骨下骨の骨細胞機能に及ぼす影響を解析することを目的とした。 IL-1βで刺激したマウス軟骨細胞とマウス骨細胞セルラインを共培養し、軟骨細胞と骨細胞との相互作用を評価した。共培養後、骨細胞に生じた変化をCristal Violet染色、ウエスタンブロッティング(WB)、qRT -PCRおよびRNA -seqを用いて解析した。その結果。IL-1β刺激軟骨細胞と共培養した骨細胞群(刺激群)では有意に骨細胞数が減少していた。またqRT-PCR及びWBの結果、刺激群は骨細胞関連マーカーの発現が減少し、RANKLの発現量が有意に増加した。RNA-seqによる遺伝子発現解析では、刺激群で炎症関連遺伝子が多く発現していた。その中でpyroptosisに関連するNOD like receptor signaling pathwayに着目し、pyroptosisに関連する遺伝子発現が上昇していることを確認した。 これらの結果から、変性した軟骨細胞は骨細胞のPyroptosisを誘導し、初期OAに見られる骨代謝変化に類似した、周囲の骨脆弱性を誘導する可能性が示唆された。 今後は、Pyroptosisを引き起こすGasdermin Dのコンディショナルノックアウトマウスを作成し、膝前十字靭帯を切断した変形性関節症モデルを用いて、OAの発症・進行に関する検証を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度はin vitiroで軟骨細胞とマウス骨細胞セルラインとの相互作用について検証を行った。RNA-seqによる網羅的遺伝子解析を行い、OA治療のターゲットとなり得る標的遺伝子を同定した。
|
今後の研究の推進方策 |
Pyroptosisに関与するGasdermin Dのコンディショナルノックアウトマウスを作成し、膝前十字靭帯を切断した変形性膝関節症モデルを用いて、野生型マウスとの比較検討する研究を予定している。 また 、現在のデータは骨細胞セルラインを用いた結果であるが、今後はマウスから単離した骨細胞を用いて同様の結果が得られるかどうかを確認する予定である。
|