研究課題/領域番号 |
21K16677
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
土肥 透 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (60830536)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 後縦靭帯骨化症 / 骨代謝 / 骨密度 / 骨強度 / 骨代謝マーカー / 有限要素法 / バイオマーカー |
研究開始時の研究の概要 |
OPLLは全身の骨代謝との関連が示唆されており、過去には頚椎OPLL患者で骨密度が高い傾向にあることが知られている。しかしながらOPLL患者での骨質を考慮した骨強度の検討や、骨代謝マーカーを解析した報告は少ない。OPLL患者で3D-CT画像を用いた有限要素解析により、予測骨折強度を測定することで詳細な骨強度評価を行い、さらに骨代謝マーカーを計測し、後縦靭帯骨化の全身の骨代謝への影響を明らかにする。従来の骨密度検査では評価し得ないOPLLと骨強度との関連を明らかにすることで、OPLL発症メカニズムや骨化進行リスクの解明につなげ、新たな予防、治療法の確立を目指すことが本研究の目的である。
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研究実績の概要 |
後縦靭帯骨化症 (以下OPLL)患者において骨化重症度別に骨代謝マーカーとの関連について調査した。より骨化が重症な胸椎OPLL症例において骨形成マーカーであるP1NPと骨吸収マーカーであるTRACP-5bなどの骨代謝マーカーとの関連について調査した。2020年4月から2022年6月までに外来受診した圧迫性脊髄症患者のうち、透析、関節リウマチ、腫瘍、骨代謝関連薬使用例などを除外した212例を対象とした。OPLLの有無によりNon-OPLL群 (73例)とOPLL群 (139例)に分け、さらにOPLL群を頚椎OPLLのみのC-OPLL群 (92例)、胸椎OPLLがあるT-OPLL群 (47例, 頚椎OPLL合併を含む)に分けた。それぞれの2群間で年齢、性別、BMI、腎機能障害の有無、補正Ca, Pi, P1NP, TRACP-5b, 25OHD, 1,25(OH)2Dを比較し、傾向スコアマッチング解析を用いて比較検討を行った。Non-OPLL群とOPLL群の比較では、OPLL群は有意に若年で高BMI、低Piだった。年齢、性別、BMI、腎機能障害の変数で傾向スコアマッチング解析を算出し比較したところ、OPLL群では有意に低Pi、高P1NPだった。C -OPLL群とT -OPLL群の2群比較ではT -OPLL群は有意に若年で女性が多く、高BMIで、腎機能障害が少なかった。傾向スコア調整比較の結果、T-OPLL群で有意に高P1NP (p=0.003)、高TRACP-5b (p=0.001)だった。より骨化が重症な胸椎OPLL症例では骨形成マーカーのP1NPや骨吸収マーカーのTRACP-5bが高く、骨代謝回転が亢進している可能性が示唆された。以上の結果について学術論文として発表している (Sasaki, Doi et al., Spine 2024)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
後縦靭帯骨化症(以下OPLL)における骨代謝に関する研究として、現在までに①OPLL症例での骨密度、骨強度の検討、及び②OPLL症例における骨代謝マーカーの検討を行ってきた。①に関してはOPLLのない症例に比べて、OPLL症例で有意に骨密度、骨強度が高いことが示され、学術論文にその成果を発表した (Doi et al., Spine J 2022)。さらに②に関してもOPLL患者で有意に低リン、高P1NPであり、さらに胸椎OPLL例では高P1NP、高TRACP-5bであることが判明し、その結果についても学術論文として発表している (Sasaki, Doi et al., Spine 2024)。上記から概ね順調に研究が進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後後縦靭帯骨化症 (OPLL)と骨密度、骨強度や、骨代謝マーカー、骨質マーカーである終末糖化産物AGEsとの関連について、骨化重症度や年齢や性別ごとの検討を行っていく予定である。
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