研究課題/領域番号 |
21K16694
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
谷本 浩二 日本大学, 医学部, 助教 (80896043)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 手指関節角度 / 対立位 / ゴニオメーター / デジタル角度計 / ハンディスキャナー / 3D画像 / 仮想3次元画像 / 3D深度カメラ / AI モーションキャプチャー / 手指関節可動域測定 / 診療補助 ツール / オンライン診療 |
研究開始時の研究の概要 |
従来、一箇所ずつ角度計を用いて膨大な時間と手間を要した測定法に対して、人工知能を用いて即時に測定できる、いわゆる、AIモーションキャプチャーによる手指関節可動域の測定法を確立し、従来の測定法と比較することで、簡便性や利便性を検証すること。また、仮想3D画像を作成し手指機能を動的解析することで診断や治療に有用であるかを検証すること。そして、本研究は、それらの検証を基にスマートフォンのアプリケーションツールやオンライン診療に対する診療補助ツールとしての実用化を目指していく研究である。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、AIモーションキャプチャーを用いて簡便に手指関節可動域を測定する方法を確立し、スマートフォンのアプリケーションツールとして社会に普及させること。さらに今後、発展が期待されるオンライン診療に対し診療補助ツールとしての実用化を目指した研究である。ただし、以前までの研究実績から、手の仮想3次元画像を作成しAIモーションキャプチャーによる手指関節角度や関節可動域の解析を試みるのは困難な状況にあった。 それ故、まずは特定の肢位における多用途生体計測装置を用いた静的な手指関節角度の計測や動的な手指関節角度の変化を把握する必要があると考えた。それはつまり、ある特定の手の肢位において、各指の各関節がどの程度、屈曲、伸展する必要があるかを把握することができ、様々な手の肢位における各指の関節角度の推定や予想につながる研究になると考えた。 第一段階として、健常ボランティア10例を対象に、特定の静的肢位として母指と小指の爪甲面の軸を一致させた対立位を組ませて、従来、手指角度測定器として使用しているゴニオメーターとデジタル角度計を用いて、母指、小指の各関節の屈曲角を各々測定した。その際、日を改めて各関節を計2回ずつ測定した。そして、両ツール間で測定角度や測定時間の誤差、検者内信頼性について評価した。結果、対立位は、母指IP関節屈曲角43~46度、母指MP関節屈曲角35~37度、母指掌側外転角26~29度、小指DIP関節屈曲角53~55度、小指PIP関節屈曲角62~63度、小指MP関節屈曲角10~13度で形成された。両ツール間で有意な測定角度誤差は認めなかった。また、測定時間も有意差は認めなかった。検者内信頼性は母指IP、MP関節および小指DIP関節屈曲角の測定では高く、母指掌側外転角の測定では低かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
正確な手指関節角度を測定できる基準点を明らかにする必要があり、実際に、特定の肢位におけるハンディスキャナーを用いた手の仮想3D画像を構築し手指関節角度の計測を行った。結果的には、1指ごとには関節角度を測定可能であったが、手指全体においては瞬時に手指全体の正確な関節角度を計測することは困難であり、当初の目的であるリアルタイムで抽出された仮想3次元画像に対して、AIモーションキャプチャーにより瞬時に角度を計測し把握できるといった動的解析が行えるところまで到達できない状況にある。また、マーカレスでの角度計測も行えておらず、正確な手指可動点の同定や修正点を加えるといったところまで至っていないことが上記理由と考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後、瞬時に手指関節角度や関節可動域を測定し、正常と異常の境を評価するためにも、まずは、ある特定の手の肢位において、各指の各関節がどの程度、屈曲、伸展するかを把握する必要が出てきた。そして、実際に、母指と小指の爪甲面の軸を一致させた対立位に関しては、形成される母指および小指の各関節の屈曲角について、おおよそ把握することができた。 一方で、特に母指掌側外転角の測定においては検者内信頼性が低く、今後はもう少し母指掌側外転角の測定の信頼性を上げられるように、目印や基準となる測定部位や測定条件を統一する必要があると考えられた。 また、静的な特定肢位に関しては、対立位以外にも日常診療で比較的よく目にするつまみ、はさみ、握りなどの肢位に関しても、形成される手指の角度を把握する必要があるととともに、測定ツールに関しても、新たに各手指角度をモニター上で可視可能なグローブシステムによる多用途生体計測装置を含めて、測定角度や測定時間の誤差、検者内信頼性について比較検討する方針で考えている。
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