研究課題/領域番号 |
21K16699
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鈴木 裕貴 北海道大学, 大学病院, 医員 (90880021)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 圧迫性脊髄症 / 脊柱靱帯骨化 / 動物モデル / 脊柱靭帯骨化 / 脊髄障害 / 慢性圧迫性脊髄障害 |
研究開始時の研究の概要 |
脊柱靭帯骨化症による脊髄障害の原因は、脊柱靭帯の骨化であるが、症状を引き起こす原因器官は脊髄であるので、脊髄障害の病態解明も、新規治療方法の開発につながる。特に、靭帯骨化による脊髄への圧迫があっても、無症候者がいることから、単純な圧迫による阻血性障害だけが原因でないことは推測されるが、臨床を模擬した適切な動物モデルがないこともあって、その病理機序の詳細はいまだ不明なままである。そこで、本研究の目的は、脊柱靭帯骨化による慢性脊髄障害モデルを確立し、その詳細な病態を解明することで、治療方法開発につながる知見を創出することである。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、脊柱靭帯骨化による脊髄障害モデルを開発し、障害早期、中期、後期の主たる病態、細胞機構を明らかにすることである。脊柱靭帯骨化による脊髄障害モデルの作成に、最適なラット週齢を明らかにするために、CT脊髄造影を各週齢のLewisラットに実施し、脊柱管、脊髄、space available cord (SAC)の成長曲線を明らかにした。Lewisラットの場合、8週齢以降であれば、SACが平衡状態となること、また、脊髄、脊柱管の成長が24週齢で停止することが判明した。このことは、Lewisラットに脊柱管内占拠性物質を留置あるいは作成して、脊髄障害モデルを作成する場合、8週齢以降であれば問題なく、24週齢以降ならば理想的であることが判明した。これらの事実を論文発表した。さらに、脊柱靭帯骨化による脊髄障害の詳細な組織学的を実施するために、120匹の靭帯骨化自然発症モデルであるTWY マウスに、低酸素プローブとBrduを投与、5週齢で灌流固定し、全例に脊髄造影を実施した。その結果、灰白質、白質への脊髄圧迫が同程度のマウスを4群、40匹選択することが可能になった。また、機能評価も可能である脊柱靭帯骨化による脊髄障害モデル開発のため、ラットの第5頚椎椎弓下にBone Morphogenic Protein (BMP)を含浸させたコラーゲンスポンジを留置して、脊柱管内異所性骨化作成を試みたところ、一定のBMP濃度を越えると異所性骨化が形成されるが、その後、骨組織が吸収されることが判明した。そこで、骨吸収抑制薬剤を併用したところ、異所性骨化は維持され、最終的に異所性骨化による脊髄圧迫と脊髄障害を発症させることが可能になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、脊柱靭帯骨化による脊髄障害モデルを開発し、障害早期、中期、後期の主たる病態、細胞機構を明らかにすることであるが、脊柱靭帯骨化による脊髄障害モデルの作成に、最適な週齢を明らかし、論文発表を実施したこと。病態解明のために脊髄圧迫の程度が同定度のマウスを、120匹のTWYマウスから、脊髄造影によって、40匹にまで絞り込むことができたこと、しかも、低酸素プローブ、Brduをすでに注入しており、組織学的評価をするのみである。また、機能評価も可能である脊柱靭帯骨化による脊髄障害モデル開発のため、ラットの第5頚椎椎弓下にBone Morphogenic Protein (BMP)を含浸させたコラーゲンスポンジを留置して、脊柱管内異所性骨化作成を試みたところ、一定のBMP濃度を越えると異所性骨化が形成されるが、その後、骨組織が吸収されることが判明した。そこで、骨吸収抑制薬剤を併用したところ、異所性骨化は維持され、最終的に異所性骨化による脊髄圧迫と脊髄障害を発症させることが可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
靭帯骨化自然発症モデルであるTWY マウス120匹から、灰白質、白質への脊髄圧迫が同程度のマウスを4群、40匹選択することが可能になった。今後、これらのマウスの脊髄の組織切片を作成し、免疫染色によって、apoptosis, ferroptosis, necroptosis, proptosisの4つの制御された細胞死の有無と圧迫程度との関連を検討する。また、低酸素プローブとBrduに対する染色を実施し、脊髄障害の早期に、低酸素状態に陥る細胞種、増殖する細胞種を同定する。以上により、脊柱靭帯骨化による脊髄障害の早期病態の解明が進展することが期待できる。また、機能評価も可能である脊柱靭帯骨化による脊髄障害モデル開発のため、ラットの第5頚椎椎弓下にBone Morphogenic Protein (BMP)を含浸させたコラーゲンスポンジを留置し、骨吸収抑制薬剤を併用し、異所性骨化による脊髄圧迫と脊髄障害を発症させるモデルの確立に注力する。対照群として、BMP非含有コラーゲンシート移植群を設定し、移植後、8週間に渡って、詳細なトレッドミル型歩行解析器械を使用した歩行解析、感覚機能(触刺激、熱刺激)、各種筋肉重量の定量によって、脊髄障害の程度を定量し、臨床像との相関を検討する。
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