研究課題/領域番号 |
21K16713
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
岡村 建祐 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (60812691)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | iPS細胞 / 骨分化誘導 / 再生医療 / 3次元培養 / IPS細胞 / 骨癒合 |
研究開始時の研究の概要 |
難治性骨折や偽関節に対する短期間かつ確実な治療法の確立は重要な課題であるが,培養細胞の移植による治療は未だ実用化に至っていない。 研究代表者らはヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)の骨分化誘導実験に既に成功しており,またラット骨髄間葉系幹細胞(MSC)から骨形成細胞シート(OCS:osteogenic cell sheet)を作成し,その移植による骨癒合促進効果についても報告してきた。 本研究の目的は,ヒトiPS細胞由来のOCSその他の骨形成細胞集合体を,免疫不全マウスの骨折モデルへ移植し,その骨癒合促進効果を検討することで,将来的な難治性骨折や偽関節等の治療法としての実用化に資することである。
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研究実績の概要 |
ヒトiPSCを用いた骨分化誘導実験において、3次元培養のための担体として、アテロコラーゲンから成るスポンジタイプのものを使用して、試行錯誤を繰り返しつつ培養実験の継続をし、元々2次元培養実験で既に申請者らが行っていたRT-qPCRにおける適切な参照遺伝子の検討を行った結果と、上記担体と播種した骨分化細胞の様子を捉えた電子顕微鏡写真、I型コラーゲン等で標識した免疫染色写真等を含めて報告した学術論文を海外雑誌に投稿し、査読を受けている最中である。 また、上記と同様にして担体としてβ-TCPと生態分解性ポリマーから形成された綿形状の人工骨を使用した3次元骨分化培養実験を続いて行った。しかし、ヒトiPSCを播種した段階で生着率が極めて低く、十分なRNA量を抽出できなかったため、前述のスポンジ同様に手技等の面での試行錯誤を繰り返したが、改善が望めず、有効なデータが得られなかったため断念する形となった。 同じくβ-TCPを配向連通構造に形成した人工骨を使用した3次元骨分化培養実験も開始・継続しており、こちらについては良好な骨分化結果を得ており、今後国内学会等で発表予定としている。 また、これと並行して上記担体を免疫不全マウスへ移植する実験を試みた。しかし、移植の前段階である、頭骨への骨孔作成の段階で、先行研究に報告されている手法を参考にし、ドリルや生研用パンチを使用し骨孔を作成したが、翌日以降に高確率で死亡し、その原因は脳挫傷または硬膜内外の血腫による脳ヘルニアと考えられた。同操作を繰り返すことによるさらなる検証は費用面・動物愛護的側面から断念し、現在は別部位への移植実験を行っている。それが成功した際には、結果を今後国内学会等で発表予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前前年度に報告した、「3次元培養のための担体を用いた実験や、その比較として採用する予定であった2次元培養のための素材を用いた実験において、適切に細胞が 生存し分化できない状況が繰り返し発生した」事態による遅れ、前年度に報告した、「より好ましい培地への変更や、電子顕微鏡写真や免疫染色による評価の追加」による遅れについては適切に対処し解消されたが、そのために最終段階と設定し予定していた免疫不全動物への移植実験に移行する時期が遅れ、その移植前段階である頭骨への骨孔作成の段階で失敗が重なっており、移植方法等の改善を図り再評価し、それを反映した再実験を行う必要もあるため。
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今後の研究の推進方策 |
現在既に海外雑誌にて査読を受けている最中である論文については、このまま掲載に向け査読チームとの連絡、修正作業を継続する。また、当初の予定より遅れている免疫不全動物への移植実験については、目下改善案を元に再実験を既に開始しており、その結果を国内学会へ発表し、検証を重ねた後、海外雑誌へ投稿予定である。
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