研究課題
若手研究
近年、成人脊柱変形矯正固定術後に繰り返す人工股関節脱臼が問題となっている。本研究の目的は、成人脊柱変形矯正固定術後の人工股関節脱臼リスクを術前に評価する方法を確立することである。本研究では術後座位骨盤傾斜の予測式を応用して、術前に日常生活動作のsimulationを行う。これにより脊柱固定術後の人工関節脱臼リスクを術前に評価し、脱臼が起こりづらい至適な脊椎矯正角度を提案するシステムを構築する。理想的な立位アライメントと脱臼予防の両者を満たす至適な脊椎矯正角度がない場合もリスクに応じた治療方針の選択を示せる。更に副次的効果として個人ごとに注意を払うべき日常生活動作を示唆できる。
40歳の女性にCT画像より、L4椎体から大腿骨までの3次元非線形有限要素モデルを構築し、非癒合モデル(NF)、L4-5癒合モデル(L5F)、L4-S1癒合モデル(S1F)、L4-S2耳介腸骨スクリュー固定モデル(S2F)の4つのモデルを作成した。L4椎体に垂直方向に400Nの圧縮荷重をかけ、さらにL4椎体に10Nmの曲げモーメントをかけて屈曲、伸展、左側屈、軸回旋を刺激した。各モデルの股関節のフォンミーゼス応力と角運動を解析したところ NF、L5F、S1F、S2Fの股関節の角運動は徐々に増加し、S2Fモデルが最も大きな角運動を示した。有限要素解析にて仙腸関節固定を伴う腰仙部固定術では、股関節にストレスが加わることを明らかにし、Spine Surg Relat Res.にて「Erratum for Lumbar Fusion including Sacroiliac Joint Fixation Increases the Stress and Angular Motion at the Hip Joint: A Finite Element Study.」として報告した。また、成人脊柱変形術後の股関節症発生状況について追跡調査を行い、第97回日本整形外科学会学術総会にて「成人脊柱変形術後の股関節症 ―術後 5 年調査から― 」として報告した。
2: おおむね順調に進展している
臨床及び基礎領域において研究を展開し新しい知見が得られている。
歩行中を再現するような動的な有限要素解析への応用を検討している。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件)
Spine Surgery and Related Research
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