研究課題/領域番号 |
21K16722
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター) |
研究代表者 |
津野 宏隆 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), リウマチ性疾患研究室, 医師 (90792135)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 変形性関節症 / 軟骨 / 膝関節 / 変形性膝関節症 / 荷重 / iTRAQ / 滑膜 / 力学的ストレス / 関節炎 |
研究開始時の研究の概要 |
変形性関節症では滑膜病変が痛みの発現に大きく関与することが明らかになってきた。滑膜性の痛みは関節置換を行って変性軟骨を取り除けば消退し痛みも大幅に軽減し、軟骨への力学的負荷が症状の悪化に関与することから、荷重によって変性軟骨から症状悪化を引き起こす何らかの因子が遊離している可能性がある。本研究ではこの知見をもとに、プロテオーム解析を行って変性軟骨から荷重により遊離する因子を網羅的に同定し、そのうち滑膜病変を引き起こしうる因子について遊離量を計測して候補因子を選ぶ。さらに一次培養滑膜細胞を用いた実験を行って、軟骨の荷重抽出液による細胞の挙動の変化が確かに候補因子によるものかを明らかにする。
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研究成果の概要 |
変形性関節症(OA)の病態を解明するために、罹患関節から採取した軟骨組織に平地歩行の際に軟骨に加わるのに近い荷重を繰り返し加えて、遊離するタンパクを抗体アレイ、定量的プロテオーム解析、およびルミネックスを用いた定量解析により調べた。その結果、OA軟骨からは荷重によってさまざまなタンパクが対照軟骨に比して多量に遊離することが明らかになった。遊離したタンパクにはalarminあるいはDAMPsに属する複数のタンパクのほか、血管新生作用を有するVEGF-A、aFGF、bFGF、TGF-β、疼痛を強く誘発するNGFなどが含まれていた。本研究の結果はOAの病態を考えるうえで重要と考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
変形性関節症は社会の高齢化とともに患者数が増加している疾患であるが、その病態には不明な点が多く、疾患の発症や進行を抑止できる治療法は見当たらない。この疾患では滑膜病変も病態において中心的な役割を果たすことが明らかになった。本研究では滑膜病変の成立に関与するOA軟骨から遊離する因子を初めて直接的な方法で解析した。この知見は滑膜病変の成因を解明する上で極めて重要と考えられ、本研究の成果は滑膜病変を含めたOAの病態解明、およびそれを通したOAの治療法、進行抑止法の確立に直接的に役立つものと思われる。
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