研究課題/領域番号 |
21K16764
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
津田 さやか 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (60839075)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 制御性T細胞 / CD4陽性T細胞 / 妊娠高血圧腎症 / T細胞受容体 / トランスクリプトーム解析 / 妊娠 / 抗原特異的T細胞 / 妊娠高血圧症候群 |
研究開始時の研究の概要 |
胎児は母体にとって父親由来抗原を発現する半異物であるが、妊娠中は父親抗原特異的な免疫応答の抑制(免疫寛容)が誘導されるため、胎児は拒絶されない。父親抗原特異的な免疫寛容の誘導には、母体の父親抗原特異的制御性T細胞(Treg)が重要な役割を果たす。母体高血圧・胎児胎盤循環不全を呈する妊娠高血圧腎症(PE)の発症には、抗原特異的Tregの機能障害が関与する。今回、単一細胞からT細胞受容体と網羅的mRNA発現の同時解析を行うことで、抗原特異的Tregに特徴的に発現する機能分子を明らかにする。これにより、抗原特異的Tregをターゲットとした治療薬選定に繋げる。
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研究実績の概要 |
正常妊娠初期(n=4)、正常妊娠後期(n=3)、妊娠高血圧腎症(PE)(n=3)の子宮内膜リンパ球、正常妊娠後期(n=1)の末梢血リンパ球からCD4陽性細胞をセルソーターで分離し、BD Rhapsody single cell analysis systemを用いて単一細胞mRNA+T細胞受容体(TCR)を施行した。発現変動のある遺伝子をもとに、クラスタリング解析を施行したところ、12種類のconventional CD4陽性細胞(Tconv)分画(ナイーブ、メモリー、活性化、PD-1+抑制型)と、FoxP3+制御性T細胞(Treg)の計13の分画から成るヘテロな集団であることが判明した。PD-1陽性抑制型、活性化型、Treg分画では細胞のクローン化率が高く抗原特異的クローンを含む群であることが分かった。CD4+Tconvはメモリー型・活性化型・PD-1+抑制型クラスター間にクローン重複があり、局所での抗原刺激を受け分化していることが示唆された。一方、Treg分画で増加しているクローンは他の分画とほぼ重複せず、Tconvとは異なる抗原を認識しており、誘導経路も異なると考えられた。興味深いことに、PEでは、Treg分画のクローナリティが高い細胞にRORC、IL18といったproinflammatoryな形質の獲得を示唆するmRNAの発現が増加しているものが存在した。また、PEのTreg分画でSTAT1の発現が亢進していた。T細胞でのSTAT1のoverexpressionは自己免疫疾患発症のリスク,病態関連分子であることが報告されている。STAT1-JAK経路の阻害は免疫学的治療のターゲットとなりうる。PEにおいてもTregにおけるSTAT-1強発現が病態関連分子である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Ⅰ. 正常妊娠とPE症例で、抗原特異的Tregの機能分子発現を比較検討し、免疫学的治療の標的となる病態関連分子を明らかにする。(2021-2022年度) PEでは抗原特異的Tregがproinflammatoryな形質に傾斜していることを示唆する所見が得られた。また、自己免疫疾患における病態関連分子としての既報があるSTAT1の発現亢進が、PEのTreg分画でも認められた。以上よりⅠの目標は達成された。 Ⅱ. 妊娠子宮で機能する抗原特異的Tregの誘導過程を明らかにする。(2021-2022年度) TregとCD4+Tconvは認識する抗原と誘導経路が異なる可能性が示唆された。マウスでは、Tregは所属リンパ節で抗原提示されexpansionしたものが子宮へ誘導されていると報告されており、ヒトでも同様の誘導経路である可能性が示唆された。一方、子宮局所でTconvがPD-1+subsetへ分化している可能性が示唆され、母子境界領域で免疫寛容の誘導メカニズムの一つかもしれない。以上が判明したことによりⅡの目標も概ね達成されたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
PEでのTreg分画における病態関連分子の同定と、TregとCD4+Tconvの誘導経路の違いを明らかにすることができたため、論文作成・投稿を行う。
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