研究課題/領域番号 |
21K16765
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
飯塚 崇 金沢大学, 医学系, 講師 (90748617)
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研究期間 (年度) |
2021-11-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | Laeverin / 胎盤機能 / トリプトファン代謝 / 胎児発育不全 / 妊娠高血圧腎症 |
研究開始時の研究の概要 |
妊娠高血圧腎症(PE)は母体および胎児に重大な合併症をもたらしうるが、その発症機序については依然として不明な点が多い。本研究申請者は胎盤形成に重要な子宮らせん動脈リモデリングに関わる絨毛外栄養膜細胞(EVT)と母体免疫細胞との相互作用について解析し、特にEVTに特異的に発現するLaeverin (LVRN) について注目してきた。EVTはLVRNを介して免疫細胞との相互作用により炎症を調節し、正常な胎盤形成ではこの機構が重要な役割を果たしているが、PEではその機構が障害されていると仮説を立てた。本研究では、LVRNの炎症調節作用と免疫細胞との相互作用およびPE発症との関連性について検証する。
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研究実績の概要 |
昨年度に実施した実験結果である、THP-1細胞にr-LVRNを添加することで、免疫寛容に重要な役割を果たす蛋白であるIDO1(Indoleamine 2,3-dioxygenase-1)が上昇すること、IDO1の上昇により培養上清のキヌレニン/トリプトファン比が上昇していること、ヒト単球でもr-LVRNによるIDO1の発現上昇することなどの成果をまとめ、論文を作成した。作成した論文はiScienceにアクセプトされた(iScience 26(9) 107692-107692 2023年9月)。
今年度は以下の実験成果を確認した。 1)rLVRNを作用させたTHP-1細胞の培養上清はT細胞系列の培養細胞であるJurkat cellのcell viabilityを低下させた。これは培養上清のキヌレニン/トリプトファン比の上昇がT細胞の機能を抑制していることを示唆する結果である。 2)IDO1の上昇メカニズムとしてIFNβの発現が関与していることを見出した。rLVRNはInterferon stimulated Genes (ISGs)の発現およびIFNβの発現を誘導する。さらにIDO1の発現はIFNシグナル伝達経路の阻害により抑制された。 3)妊娠中の末梢血単核球(PBMCs)にrLVRNを作用させ、IDO1/ISG15発現比を検討すると、出生体重のZ値とIDO1/ISG15比に負の相関関係があることが分かった。このことは胎児発育不全症例のPBMCsはrLVRNによるIDO1発現の反応性が不良であることを示唆し、rLVRNの反応性が胎盤機能を反映することが予想された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年9月まで研究留学しており、2023年10月より研究を再開したことと、再開後に臨床の業務が忙しくなったため研究へのエフォートが少なくなったことが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
LVRNの作用がIFNシグナル系を介していることが分かったが、律速段階であるLVRN受容体は不明であるため、その同定について、候補分子のノックダウン実験をすすめる。 妊娠高血圧腎症の症例の集積および解析を進めるが、症例が少なく、合併症妊娠などを含めることを検討する、
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