研究課題/領域番号 |
21K16782
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 熊本大学 (2023) 東北大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
大池 輝 熊本大学, 発生医学研究所, 助教 (90884552)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 低出生体重児(SGA) / 栄養膜幹細胞 / 三次元胎盤モデル / ヒト栄養膜幹細胞 / 低出生体重児 (SGA) / 胎盤オルガノイド / ヒト胚着床 / 胎盤栄養膜幹(TS)細胞 / 低出生体重児 / ゲノムインプリンティング |
研究開始時の研究の概要 |
近年、低出生体重児(SGA)の発症頻度は増加傾向にある。その病因や病態には、胎盤のエピゲノムの変異の関与が指摘されている。しかし、これまでは適切なヒト胎盤モデルの欠如により、疾患の詳細については不明であった。一方、当研究室ではヒト胎盤栄養膜幹(TS)細胞の樹立に世界で初めて成功した。本研究では、SGA胎盤の病態メカニズムを明らかにするため、SGA胎盤の構成細胞のエピゲノム変異の特徴、特にインプリンティング遺伝子のDNAメチル化の特徴について検討する。次に、SGA胎盤の疾患TS細胞モデルを作製し、その細胞特性について明らかにする。さらに、病態を再現する疾患TS細胞の三次元培養の創出に挑戦する。
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研究実績の概要 |
低出生体重児(SGA)の病因として、胎盤の増殖と分化の障害が指摘されている。本研究はSGA胎盤のエピジェネティックな分子制御機構を解析すること、ならびにSGAの3次元疾患由来胎盤オルガノイドモデルを用いて、その病態を再現することを目的としている。初年度は、SGA胎盤の絨毛細胞に特異的なエピゲノム変異について検討を行った。典型的な3例のSGA胎盤より未分化な細胞性栄養膜(CT)細胞を高純度で収集し、網羅的な遺伝子発現解析とDNAメチル化解析を行なった。これらを正常な胎盤と比較した結果、SGA特異的なエピゲノム状態の変化によって発現量が変化する遺伝子を複数同定した。2年目は、SGA疾患胎盤からの栄養膜幹(TS)細胞の樹立および細胞特性の解析を行った。特に、満期の胎盤からTS細胞を作製する方法について検討を行なった。リプログラミングの手法で満期の胎盤からのTS細胞の樹立を試みた。その結果、SALL4およびp53ドミナントネガティブ変異体を同時に満期の栄養膜細胞に遺伝子導入することで、満期の胎盤の栄養膜細胞からTS細胞を樹立することに成功した。この手法を用いて、SGA胎盤のCT細胞からTS細胞を作製すると、これらのTS細胞は、SGA胎盤の栄養膜細胞に特異的なエピゲノムや遺伝子発現の変化を反映することがわかった。最終年度には、高度にSGA疾患の表現型を再現することを目的として、三次元胎盤モデルの作製に挑戦した。母体子宮内膜の細胞とTS細胞のスフェロイドの共培養によって着床時に起こる胚の子宮内膜への接着や子宮内膜上皮の消失といった現象を再現することに成功した。今後、胚の浸潤やラクナ形成といった着床のより進んだ段階を再現するモデルの開発に挑戦する。本研究の成果はSGAの発症予防や治療法の開発に貢献できると期待できる。加えて、妊娠中に安全な医薬品の開発にも活用できると期待できる。
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