研究課題/領域番号 |
21K16819
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
河原 直紀 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (70623495)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 卵巣癌 / 明細胞癌 / 合成致死 / ARID1A遺伝子変異 / Cyclin-E1 / CCNE1 / 卵巣明細胞癌 / ARID1A / Cyclin-E1(CCNE1) / CDC6 / Cyclin E1 / ARID1A変異 |
研究開始時の研究の概要 |
卵巣明細胞癌の約半数が変異していると報告されているARID1A遺伝子変異に着目し、これに対して合成致死効果のある遺伝子の対象を細胞周期、脱ユビキチン化、およびDNA損傷応答に関わる遺伝子約500種類を選定した。次にこれらについてスクリーニングを行った結果、図1.に示すように7種類の候補遺伝子を同定し、この中でCyclin-E1(以下CCNE1)について細胞増殖抑制効果、アポトーシスの誘導、およびヌードマウスを用いた腫瘍増大抑制効果を確認した。しかし、CCNE1がARID1A遺伝子変異に対してどの様に合成致死作用を発揮するかについては不明であるため、これを本研究の目的とする。
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研究成果の概要 |
ARID1A変異に対する合成致死候補を同定するためにsiRNAスクリーニングを行い、合成致死候補としてCyclin-E1(CCNE1)を同定した。CCNE1の干渉は、TOV-21GおよびKOC7c(ARID1A変異株)の増殖を低下させたが、RMG-IおよびES2(ARID1A野生株)の増殖は低下させなかった。さらに、in vivoでのCCNE1干渉は、異種移植マウスモデルにおいて腫瘍細胞の増殖を抑制した。本研究により、CCNE1がARID1A変異OCCCの合成致死標的遺伝子であることが初めて示された。この遺伝子を標的とすることは、OCCC治療における新規の抗がん戦略であると考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
卵巣明細胞癌は既存の化学療法に抵抗性であり予後不良という特徴がある。今日、合成致死戦略に基づきPARP阻害剤が開発され、高異型度漿液性癌に特徴的な相同組換修復異常を持つ卵巣癌の場合には高い治癒率を誇るが、卵巣明細胞癌においては効果が乏しいのが現状である。更に上皮性卵巣癌に占める明細胞癌の割合は欧米では6-8%と低いものの、本邦では25%以上と高い割合を占めており、本邦においては卵巣明細胞癌を標的とした新たな治療戦略の構築が求められている。我々は卵巣明細胞癌の約半数が変異していると報告されているARID1A遺伝子変異に特異的に効果を発揮する治療ターゲットを同定し効果とメカニズムを明らかにした。
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