研究課題/領域番号 |
21K16825
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大石 哲也 東北大学, 大学病院, 非常勤講師 (30898995)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 内耳 / 酸化ストレス / NRF2 / シスプラチン難聴 / 内耳酸化ストレス障害 / 加齢性難聴 |
研究開始時の研究の概要 |
様々な難聴の発症に酸化ストレスが関わることが明らかになってきている。 生体で発生した酸化ストレスに対する主要な応答システムとして重要なNRF2というタンパク質は、多くの抗酸化や解毒のためのタンパク質を誘導する。我々はこれまでに、NRF2が活性化すると騒音性難聴や加齢性難聴が進行が抑制されることを明らかにしたが、聴覚機能に重要な内耳における酸化ストレスの局在や動態については不明な点が多い。そこで、本研究では、内耳において酸化ストレス障害を受けやすい細胞領域の検証や、詳細な病態の解析を行い、より効果的で臨床応用可能なNRF2の活性化による治療を確立することを目的とする。
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研究実績の概要 |
内耳蝸牛における酸化ストレス障害部位を、NRF2の活性化を介して検出することを目的に、Cre/loxPシステムを用いた遺伝子改変マウスであるNeh2-Cre:tdTomatoマウスを構築し、それを用いて解析を行った。同マウスは、酸化ストレスが発生した細胞において、tdTomatoの発現が誘導されるため、細胞レベルで酸化ストレス障害部位を同定することが可能なマウスである。これまでこのマウスに対して強大音曝露、シスプラチン腹腔内投与、加齢等の様々な酸化ストレス負荷を与え検討したが、特にシスプラチン投与により、内耳蝸牛におけるtdTomato発現細胞、すなわち、酸化ストレス障害を受けたと考えられる細胞を多く認めた。この結果から、シスプラチンによる内耳障害には酸化ストレスが大きく関与していると考えられた。更に、シスプラチン投与による蝸牛内のtdTomato発現細胞の分布を観察すると、血管条やラセン靱帯といった蝸牛側壁に、より多く発現している傾向を認めた。シスプラチンの全身投与では蝸牛の比較的血流が豊富な血管条や、ラセン靱帯に薬剤が到達しやすく、また残留性が高いことが過去にも報告されており、同部位で酸化ストレス障害が生じやすい一因である可能性が示唆された。加えて同マウスに対するシスプラチン投与において、他の全身臓器と比較し、腎臓においてtdTomato発現細胞が多い傾向がであった。以上の結果から、シスプラチンによる腎障害の発生機序には酸化ストレスが関与することが示唆され、また、同マウスが、シスプラチン投与による全身臓器の酸化ストレス障害を、比較的適切に反映するモデルであると考えられた。 以上の研究成果をFree Radical Biology and Medicine誌に公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
酸化ストレス障害部位を細胞レベルで検証するNeh2-Cre:tdTomatoマウスを構築し、シスプラチンによる蝸牛や腎臓での酸化ストレス障害を確認することができた。 特に蝸牛においては、障害が生じやすい領域の解析を進めることができた。その一方、野生型マウスやNrf2ノックアウトマウスを用いた、シスプラチン投与後の、蝸牛血管条やラセン靭帯を中心とした組織変性の解析や、免疫組織化学、聴力評価などのより詳細な解析が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
シスプラチン投与による、蝸牛の酸化ストレス障害部位の解析を更に進める方針である。 Neh2-Cre:tdTomatoマウスに対するシスプラチン投与の実験系で示唆された、血管条やラセン靭帯の酸化ストレス脆弱性を、野生型マウスやNrf2ノックアウトマウスを用いて確認する。野生型マウスに対してシスプラチン投与を行い、聴力の評価、特に血管条やラセン靱帯を中心とした組織学的変性の解析、酸化ストレスマーカーを含む免疫組織化学で評価、その蓄積の局在などを観察し、蝸牛における酸化ストレス障害部位のより詳細な検証を行う。 また、Nrf2ノックアウトマウスに対するシスプラチン投与も行い、特に血管条やラセン靱帯が、野生型マウスと比較してより高度に障害されるかどうかを、組織学的に検討する予定である。
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