研究課題/領域番号 |
21K16835
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター (2023) 国際医療福祉大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
伏見 千宙 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医長 (20623531)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 唾液腺導管がん / MSI / 癌免疫微小環境 / マイクロサテライト不安定 / 唾液腺導管癌 / ペンブロリズマブ |
研究開始時の研究の概要 |
唾液腺導管癌(SDC)は、高頻度に遠隔転移を生じる極めて悪性度の高い、予後不良な希少がんの1つであるが、標準的薬物治療法が確立されていない。申請者らは2つの臨床第II相試験を行い、HER2標的療法・アンドロゲン受容体標的療法はこれまでにない奏効率を示しSDCの新たな治療選択肢の1つとなった。 本研究では、多施設から集積した380例以上のSDC症例の標本を用いて、マイクロサテライト不安定性の検索ならびに臨床病理学的検討を行い、どのような集団に免疫チェックポイント阻害剤が効くのか、またそれが治療戦略の一つとなるのかを明らかすることを目的としている。
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研究実績の概要 |
【目的】唾液腺導管癌(SDC)は稀な高悪性度唾液腺癌であり、比較試験を経た薬物治療は確立されていない。近年、PD-1、PD-L1、CTLA-4、LAG3などの免疫チェックポイント分子を標的とした免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の有用性が様々な癌腫で報告されている。SDCを含む唾液腺癌でも徐々にICI両方が行われているが、その治療効果予測因子は確立していない。本研究の目的は、SDCにおけるMSIや癌免疫微小環境と、予後を含む臨床病理学的因子との相関を解析することである。
【方法】全国多施設共同研究で集積された症例のうち、175例の検体で本研究を遂行できた。免疫組織化学的(IHC)にミスマッチ修復タンパク(mismatch repair:MMR)MLH1、MSH2、MSH6、PMS2)の発現をみるとともに、抽出したDNAからMSI検査を行い、MSIの有無を評価した。また合わせて腫瘍組織浸潤リンパ球(TILs)、およびIHCによるPD-1、PD-L1、CTLA-4、CD8、FOXP3、LAG3の発現も判定した。PD-L1についてはcombined positive score(CPS)とtumor proportion score(TPS)をそれぞれ算出した。
【結果】MSI高値、MMR 機能低下と評価された症例は認めなかった。一方、PD1、CTLA4、CD8、FOXP3、LAG3の高発現例は、組織学的高悪性度、N・M進行例、Ki-67 公標識率を示し、予後不良との関連性が認められた。さらに、PD-L1高値例は、組織学的高悪性度で、予後も不良であった。一方、TILsと臨床病理学的因子との間に有意な相関は認められなかった。PD-L1とCTLA4を合わせて評価を行うと、2つとも高値の症例では、より予後が不良であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象症例のミスマッチ修復タンパク(mismatch repair:MMR)(MLH1、MSH2、MSH6、PMS2)、およびPD-1、PD-L1、CTLA-4、CD8、FOXP3、LAG3の免疫組織化学 染色、抽出したDNAを用いたMSI検査、腫瘍組織浸潤リンパ球(TILs)の評価が完了した。感度分析による閾値設定、および臨床病理学的因子との相関関係、無病生存期間・全生存期間との統計学的解析もおおむね完了した。また多施設共同研究の協力施設所属医師による学会発表も行った。
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今後の研究の推進方策 |
唾液腺導管癌手術治療における無病生存期間、全生存期間、病理組織学的所見および各種バイオマーカー、アンドロゲン遮断療法や抗HER2療法の奏効率、臨床 的有用率、平均無増悪生存期間、平均全生存期間、ニボルマブ投与症例の奏効率、臨床的有用率、平均無増悪生存期間、平均全生存期間をMSIの結果と検討す る。
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