研究課題/領域番号 |
21K16839
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
本藏 陽平 東北大学, 大学病院, 講師 (20810146)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 加齢性難聴 / 抗酸化 / 酸化ストレス / Nrf2 / フェロトーシス / 内耳 / 難聴 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢化社会において、加齢性難聴への対策は健康長寿社会の実現に必要かつ急務な課題である。加齢性難聴の主要因は酸化ストレス障害であるとされるが、未だ臨床的に有効な難聴予防法は確立されていない。近年、中枢神経細胞の酸化ストレス障害に関連するフェロトーシスという新たな細胞死のメカニズムと、転写因子Nrf2との関連が報告された。Nrf2活性薬はすでに本邦でも多発性硬化症の治療薬として承認されている。本研究では、加齢性難聴の発症におけるNrf2とフェロトーシスの関連と、Nrf2活性化による加齢性難聴予防のメカニズムを解明し、臨床応用可能な新たな加齢性難聴の予防法を確立することを目指す。
|
研究実績の概要 |
本研究は不可逆的とされている加齢性難聴の予防法を確立することを目的としている。高齢化社会が進む本邦では、加齢性難聴への対策は健康長寿社会の実現に必要かつ急務な課題である。加齢性難聴の主要因は酸化ストレス障害であることが明らかになっているが、臨床的に有効な難聴予防法は未だ確立されていない。 フェロトーシスは細胞内の鉄代謝を介した酸化ストレスに依存する機構であり、アポトーシス、ネクローシス、オートファジーとは異なる新たな細胞死メカニズムである。また、転写因子Nrf2は生体内の酸化ストレスを統合的に制御する因子として知られている。そこで、特に中枢聴覚におけるNrf2とフェロトーシスに着目して解析を進める方針である。具体的には、加齢性難聴における中枢聴覚でのフェロトーシスの機構を明らかにすること、および、Nrf2とフェロトーシスの関連に着目して加齢性難聴の新規予防メカニズムを明らかにすること、の2点を本研究の目標としている。 野生型マウスおよびNrf2遺伝子欠損マウスについて、自然老化、およびD-ガラクトース 投与による加齢性難聴モデルマウスを用いた検討を計画している。これらのマウスの中枢聴覚のうち蝸牛神経核と上オリーブ核と外側毛帯と下丘について組織学的および細胞生物学的に検討する予定である。 本年度は、自然老化による加齢性難聴モデルマウスの作成過程である。また、D-ガラクトース の投与量や投与間隔および解析に適した週齢について条件検討を進めている。そして、組織学的検討および細胞生物学的検討の準備は整ってい
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、加齢性難聴における中枢聴覚でのフェロトーシスの機構を明らかにすること、および、Nrf2とフェロトーシスの関連に着目して加齢性難聴の新規予防メカニズムを明らかにすること、の2点を目標としている。 自然老化マウスに加えて、D-ガラクトース 投与による加齢性難聴モデルマウスを用いた検討を計画している。現在、この自然老化での加齢性難聴モデルマウスの作成過程である。また、D-ガラクトース の投与量や投与間隔および解析に適した週齢について条件検討を進めいるが、個体による差異が大きく、適切な条件を検討中である。 また、中枢聴覚のうち蝸牛神経核と上オリーブ核と外側毛帯と下丘について、Nrf2およびNrf2の標的遺伝子群の発現を細胞生物学的に検討することを計画している。これらの遺伝子についてのRT-PCRの条件検討は終了している。さらに、中枢聴覚のうち蝸牛神経核と上オリーブ核と外側毛帯と下丘について、組織学的な検討も計画しているが、この条件検討も順調に進んでいる。しかしながら、まだ加齢性難聴モデルマウスが揃っていないため、解析は未施行である。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究では、加齢性難聴における中枢聴覚でのフェロトーシスの機構を明らかにすること、および、Nrf2とフェロトーシスの関連に着目して加齢性難聴の新規予防メカニズムを明らかにすること、の2点を目標としている。 自然老化マウスに加えて、D-ガラクトース 投与による加齢性難聴モデルマウスを用いた検討を計画しているが、これらの加齢性難聴モデルマウスの作成において研究の遅延が生じている。中枢聴覚について組織学的および細胞生物学的な検討を加える方針であり、これらの解析の手技や条件検討は順調に進んでいるものの、難聴モデルマウスが揃わないために解析が開始できていない。 そこで、今後の研究を推進するために、加齢性難聴と同様に酸化ストレスに伴う難聴の一つである音響外傷モデルを用いた解析も追加することを検討している。 障害モデルを変更することにより、難聴マウスの準備が容易になるうえ、酸化ストレスに伴う難聴を解析するという点においては、加齢性難聴の予防法解明につながる有意義な結果が得られると考える。
|