研究課題/領域番号 |
21K16862
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
木村 優介 日本大学, 医学部, 助教 (50839074)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 先天性サイトメガロウイルス感染症 / 先天性難聴 / Chirp音ABR / 抗ウイルス薬 / Wideband Tympanometry |
研究開始時の研究の概要 |
先天性サイトメガロウイルス感染症は出生時から両側高度感音難聴を示す例、進行性・遅発性に難聴を示す例、抗ウイルス薬の使用で聴力閾値が改善する例などがある。現行の評価法であるClick音ABRのⅤ波閾値のみの判断では聴力評価が難しく、今回の聴覚評価方法の検討に至った。1)Chirp音を用いたABR。2)Chirp音を用いたASSR。3)Wideband Tympanometryの3つを継時的に行い、血中ウイルス量との相関を明らかにすることで、聴力の多彩な病態を明らかにする。この研究で先天性CMV難聴に対する抗ウイルス薬の治療効果判定法の新たなスタンダードを確立することを目的とする。
|
研究実績の概要 |
先天性CMV感染症児の聴力評価で従来のClick音ABRのⅤ波閾値のみで判断した際に、低音域に難聴のある症例の治療適応や難聴の重症度評価を正確におこなうことが難しく、経過をみていく際にもABRのⅤ波閾値の変化が先天性CMV感染症による遅発性・進行性難聴なのか、成長による聴覚伝導路の髄鞘化が進んだことによるものか、中耳腔貯留液の消失によるものか、抗ウイルス薬の治療効果によるものかどうかの判断が非常に困難である。現行のABRのⅤ波閾値のみの聴力評価では治療適応と治療効果判定法に限界があると考える。 2021年度は研究を開始するにあたり、実施施設である日本大学板橋病院の臨床研究倫理審査委員会での承認を得た。(整理番号RK-210914-4)研究実施計画に則り、症例登録期間が2年間である。2021年-2022年の18例の先天性サイトメガロウイルス(以下CMV)感染症の患者の登録をおこなった。症候性先天性CMV感染症が12名、無症候性CMV感染症が6名である。18例に関しては研究の同意を取得し、スクリーニングとして、Click音ABR、Chirp音ABR/ASSR、DPOAEをおこなった。鼓室内の評価に関しては、中耳ファイバーでの観察、Tympanometryを施行している。18例に対してはフォロー期に移行しており、定期的な検査をおこなう予定である。症候性CMV感染症12例は抗ウイルス薬である、バルガンシクロビルを投与しており、Chirp音ABR/ASSRを用いて、治療効果判定をおこなう予定である。2023年3月で症例登録期間を終了し、結果を解析し、発表や論文化をおこなう予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の登録症例数は2年間で20例であった。年間10症例の先天性CMV感染症児の登録を予定していたが、2021年-2022年で18例であった。日本における先天性CMV感染の発生頻度は0.31%で、新生児1/300人が先天性感染を起こしていると報告されているが、出生時に先天性CMV感染症を疑う症状がない場合は新生児尿でのCMV核酸検出は行われていないため、多くの軽症の症候性や無症候性の先天性CMV感染児が出生時に診断されていないと思われる。現段階では、全出生児に対するCMVのスクリーニング検査はおこなわれていないため、当院のみの対応では限界があり、近隣の産院含め、先天性CMV感染症を疑った際には積極的な検査を行い早期に紹介していただけるような体制作りを進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
研究を遂行する上での課題としては、昨年度は症例登録数が少なく、登録する症例数を増やす必要があった。連携施設、近隣の施設の協力により症例登録数は増えており、今後、結果を解析し、2023年11月の耳科学会に発表予定であり、今後論文化をおこなう予定である。
|