研究課題/領域番号 |
21K16899
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
小島 祥 熊本大学, 病院, 講師 (80632661)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 緑内障 / 緑内障濾過手術 / 創傷治癒 / MCP-1 / 生体眼イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
緑内障濾過手術は眼圧下降に優れた手術であるが、創部に生じる過剰な線維化により濾過胞機能不全となる予後不良症例も存在する。我々は、房水内のMCP(monocyte chemoattractant protein)-1濃度上昇が手術予後のリスクファクターであり、手術で作成した房水流出路の閉塞過程に強く影響していることまで明らかにしているが、MCP-1が関わる線維化進展の分子メカニズムについての知見は乏しい。本研究では緑内障濾過手術後の線維化におけるMCP-1とその受容体であるCCR2の役割を分子細胞生物学的に検証し、治療成績向上につながる線維化抑制の新しい理解を見出すことを目的とする。
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研究成果の概要 |
緑内障濾過手術のリスクファクターであるMCP-1負荷で結膜下組織中の炎症細胞(LysM陽性細胞)が活発化することを生体イメージングで確認した。その細胞の活性化をROCK阻害薬が抑制した。MCP-1負荷で遊走活性をもつ細胞の系譜解析にシングルセルRNAシーケンスを行い、controlとMCP-1負荷で細胞集団に差異がないこと、手術モデルではマクロファージや線維芽細胞が優位であること、LysM陽性細胞はマクロファージ優位であることが明らかとなった。以上より、結膜創部におけるマクロファージの関与、またMCP-1がマクロファージの活性化に関与し、それがROCK阻害薬で抑制される可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
緑内障は日本において中途失明の第一位となっている進行性の視神経症であり、現在のところ眼圧下降のみが唯一エビデンスのある治療法である。薬物療法やレーザー治療で十分な効果が得られない場合は手術療法を行う。緑内障濾過手術は眼圧下降効果に優れた手術であるが、術創に働く創傷治癒に術後成績に大きく関わる。房水内MCP-1は緑内障濾過手術のリスクファクターである。本研究成果による、濾過手術後の創傷治癒過程におけるMCP-1の役割や、その抑制過程を明らかにすることは、緑内障濾過手術後の創傷治癒機序解明の一助となり、最終的には緑内障による失明を減らすことに寄与することが期待できる。
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