研究課題
若手研究
本研究では実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎(EAU)を用いてAS2863619の全身投与による生体内でのFoxp3+制御性T細胞(Treg)の誘導・増殖を介したEAUに対する炎症抑制効果について臨床的、病理組織学的に検討、免疫組織染色を用いたTh1、およびTh17細胞の眼内浸潤の変動、所属リンパ節細胞、および脾臓細胞からのIFN-gamma、IL-10、IL-17、IL-22の産生ついて検討する。本研究課題を通じてTregを介した難治性の非感染性ぶどう膜炎に対する新たな治療戦略の構築に繋げたい。
制御性T細胞(Treg)は免疫寛容の確立・維持に重要な役割を担っている。AS2863619(以下AS)はcyclin-dependent kinase 8/19(CDK8/19)の阻害作用を有し、抗原特異的Tregの誘導を促進する。本研究では実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎(EAU)を用いてAS2863619による生体内でのFoxp3+Tregを介したEAUに対する炎症抑制効果を検討した。その結果、AS投与群でFoxp3+Tregの増加はみられなかったものの、基剤群に比較してAS投与群でEAUの重症度の有意な低下がみられた。CDK8/19はぶどう膜炎の新たな治療標的となる可能性が示唆された。
現在、非感染性ぶどう膜炎による治療はステロイド薬の点眼や全身投与、免疫抑制薬(シクロスポリン)、生物学的製剤(アダリムマブ)が用いられているが、これらの治療を行っても効果が不十分、また全身副作用のため減量・中止を要する症例が存在する。今回用いたAS2863619はCDK8/19に対する阻害作用をもち、ぶどう膜炎の動物モデルである実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎に対する炎症抑制効果を示した。先行研究では多発性硬化症など他の免疫疾患モデルでもAS2863619が抗炎症作用を示すことが報告されており、今後CDK8/19がヒト自己免疫疾患の新たな標的分子となる可能性が示唆された。
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