研究課題/領域番号 |
21K16938
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57010:常態系口腔科学関連
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
中谷 有香 日本大学, 歯学部, 助教 (60781391)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 島皮質 / 腕傍核 / 口腔顔面領域 / 痛み / オプトジェネティクス / パッチクランプ / 扁桃体 / 視床 / 疼痛 / 光遺伝学的手法 / シナプス伝達 |
研究開始時の研究の概要 |
痛みには弁別系と情動系が存在する。痛み情報の伝達経路の中継点である腕傍核は,弁別系経路である視床の腹側基底核群と不快な情動形成に関わる扁桃体への投射が報告されている。一方,口腔顔面領域における侵害情報処理に関与する島皮質から腕傍核へ投射するニューロンの存在が報告されており,腕傍核において侵害情報を修飾すると推定されるが,腕傍核において弁別系と情動系どちらを増強するのかは不明である。そこで本研究では,腕傍核における視床および扁桃体に投射するニューロンを同定して島皮質からの下行性投射がどちらを増強させるのか,すなわち弁別系と情動系のどちらを増強させるのかについて光遺伝学的手法を用いて明らかにする。
|
研究成果の概要 |
口腔顔面領域における侵害情報は三叉神経脊髄路核尾側亜核に入力する。その後,腕傍核や視床を介して一次体性感覚野、島皮質そして扁桃体など様々な神経核に情報が伝達される。一方,島皮質は腕傍核に下行性投射することが解剖学的に報告されているが,実際にその機能については不明である。そこで本研究では、光遺伝学的手法を用いて腕傍核に対する島皮質の役割を解析することを目的とした。 研究成果として,島皮質からの下行性投射線維はSp5Cから投射を受ける腕傍核腹外側部におけるニューロンとシナプス形成していることを認めた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
痛みは傷害から身体を守るために必須の感覚で,組織損傷が正常に治癒するにしたがって消失する。しかし,一部の患者においては器質的な問題がないにも関わらず,慢性痛と呼ばれる有害な痛みや不快な感覚が持続することがある。歯科医療において埋伏智歯の抜歯などによって生じた下歯槽神経の損傷によって気質的変化を伴わない慢性痛を訴えて来院する患者は少なくない。最近これら慢性痛の原因の一つに,中枢神経系における可塑的変化が関与していると考えられている。島皮質→腕傍核の下行性投射が口腔顔面領域における侵害情報伝達の調節に関与する可能性が本研究で示唆された。以上は慢性痛に対する新規治療の開発の基盤となる可能性がある。
|