研究課題/領域番号 |
21K16952
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
津田 香那 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (60790756)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 唾液腺腫瘍 / 唾液腺導管癌 / RET遺伝子 |
研究開始時の研究の概要 |
唾液腺悪性腫瘍では特異的な遺伝子異常が報告されているが、未だ解明されていないことも多い。申請者は悪性度が高いが、有効な治療法が確立していない唾液腺導管癌(Salivary duct carcinoma: SDC)に注目した。近年、NCOA4-RET融合遺伝子を持つSDCにRET遺伝子の分子標的薬の有効性の示唆が報告され、SDCにおけるRET遺伝子異常の持つ臨床病理学的意義や治療法への応用が急務であると考えた。またSDCは多形腺腫由来癌として発生する例もあり、これらも含めた遺伝子解析を行うことで、多形腺腫の予後予測や悪性転化に関与する遺伝子異常の発見が本研究の概要となる。
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研究実績の概要 |
唾液腺上皮性腫瘍には多くの組織型が存在し、これらは多彩な病理組織像を示すため、HE像や免疫染色の結果のみでは診断困難な症例がしばしば認められる。しかし、近年多くの組織型において特異的な遺伝子異常が報告されており、これらは病理診断の補助や予後予測因子として有用と考えられている。 申請者は唾液腺上皮性腫瘍の中で、非常に悪性度が高いものの、明確な治療法のない唾液腺導管癌に着目し、次世代シーケンサー解析を行った結果、約23%の唾液腺導管癌にRET遺伝子異常を認めた。近年一部の唾液腺導管癌にはNCOA4-RET融合遺伝子が報告されており、この遺伝子異常を持つ症例に対するRET遺伝子の分子標的治療薬の有効性も示唆されている。 唾液腺導管癌はde novo症例のみならず、多形腺腫由来癌として発生するものも多く見られるため、申請者は名古屋市立大学病院で摘出された唾液腺導管癌と多形腺腫由来癌を合わせた80例を研究対象とし、RT-PCR法を用いてRET遺伝子異常の有無を解析するために症例データの整理や試薬の準備を行った。 その後、産前産後休暇および育児休暇を取得のため研究を中断していたが、令和5年4月より研究を再開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
出産および育児休暇により、中断していたが、令和5年度より研究を再開する予定であるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、次世代シーケンサー解析でRET遺伝子異常を認めた症例を対象に、PCRおよびFISH解析を行う。 また、RET以外にもTP53の遺伝子異常も複数例で認められ、これらの遺伝子異常においても、予後や悪性度との関連性を検討する。 対象症例はde novoの唾液腺導管癌のみならず、多形腺腫由来癌として発生した唾液腺導管癌にも拡大し、さらなる研究を進めていく予定である。
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