研究課題/領域番号 |
21K16964
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
高野 晃 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (50880209)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | LAI / Er:YAG laser / Endodontics / root canal irrigation / root canal therapy / SEM / PIPS / cleaning efficacy / PUI / irrigation / root canal preparation / apical pressure |
研究開始時の研究の概要 |
日本の歯科治療において、根管治療は現在多く行われている。根管治療の予後に関与するものとして狭窄根管があり、根管形成が困難となることが多い。また根管治療後の抜歯の原因の1つである歯根破折も以前から問題となっている。根管治療時の根管の切削量を低下させることで、歯根破折のリスクを低下させることができるが、そのためには効果的な化学的根管洗浄が必須であり、近年レーザーを応用した根管洗浄法(laser activated irrigation:LAI)の有効性が多く報告されている。そこで本研究では、最小限の根管形成・狭窄根管での根管治療を確立するためのLAI応用による総合的解析をすることを目的とした。
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研究実績の概要 |
歯牙の長期保存を目指して根管治療が行われるが、根管内を清掃する器具の破折は、現在でも根管治療の課題の1つである。近年高齢者の歯牙が多く残存する時代であるが、その根管は狭窄していることが多い。最小限の根管形成により歯質削除量は減らせるものの、狭窄した根管では器具破折のリスクも上昇し、適切な根管清掃を妨げることとなる。そこで本研究では、破折器具がある場合にLAIを応用した洗浄法の根管清掃効果と蒸気泡挙動を評価した。 J字型の根管模型を使用し、根尖から3 mmの位置に2種類の器具(20号のKファイルおよび25号07テーパーのWaveOne Gold)を3 mmの長さで意図的に根管内に破折させた。それらを各洗浄方法(LAI-PIPS:laser-activated irrigation using the photon-induced photoacoustic streaming technique、LAI、UAI:ultrasonic-activated irrigation、SI:syringe irrigation)によって洗浄を行い、ハイスピードカメラでの蒸気泡挙動、SEMでのデブリやスメアー層の除去の評価を行った。 蒸気泡の数と速度に関して、LAI-PIPSとLAIは、UAIよりも有意に高かった。WaveOne Goldを折れ込ませた方は、Kファイルを折れ込ませたものよりも、有意に高い蒸気泡の速度と数を示した。デブリとスメアー層の除去に関して、LAI-PIPSとLAIは他の洗浄法よりも優れた結果を示した。特にLAI-PIPSは、最も効果的なデブリとスメアー層の除去を示した。 本研究結果から、破折器具が存在しても、LAIが有効であることが確認できた。高い洗浄効果のため、根管削除量も最小限にできる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
破折器具を認める場合でも、洗浄の効果を示す結果であり、本研究課題に沿ったものである。今後は生体での安全面での評価も詳細に行っていく予定であるが、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今回は模擬根管を使用して研究をおこなった。実際の歯牙とは表面性状が異なるため、本研究結果とは異なる挙動を示す可能性はあるが、一定の条件下のもと、LAI応用の解析が深まった。今後はより臨床的な条件に近づけるため、実際の歯牙(抜去歯)の使用や、ラバーダムなどをおこなった条件下での研究を想定している。また最小限の根管形成で、狭窄根管でのLAIを応用した際の安全性も評価していきたいと考えている。
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