研究課題/領域番号 |
21K17012
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57040:口腔再生医学および歯科医用工学関連
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
濱田 勇人 東京医科大学, 医学部, 講師 (10421067)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | インプラント周囲炎 / 骨免疫 / セマフォリン / ジルコニア |
研究開始時の研究の概要 |
歯科インプラント治療は欠損歯に対する予知性の高い治療法とされているが、口腔清掃が不十分であると歯槽骨吸収を伴うインプラント周囲炎を発症してしまう。インプラント周囲炎の詳細な機序は未だに不明であるが、インプラント体のチタンイオン溶出によって症状を悪化させる報告が散見されている。またジルコニアインプラントに起こるインプラント周囲炎はチタンと比較し圧倒的に骨吸収が少ない報告がある。 本研究の目的は、インプラント周囲炎モデルにおいて、チタンおよびジルコニアの溶出が骨代謝に関与する骨免疫タンパクであるセマフォリンの発現にどう影響を及ぼすかを解析し、インプラント周囲炎のメカニズムを解明することである。
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研究実績の概要 |
インプラント治療は歯の欠損に対する治療法の選択肢として広く普及している。現在のインプラント体材料の主流はチタンとその合金であるが 、ジルコニアもチタンと類似したオッセオインテグレーションを獲得することが可能である。 インプラント治療後に発症する極めて難治性な併発症がインプラント周囲炎であり、インプラント体の耐食性悪化による金属イオンの溶出などが原因とされている。インプラント周囲炎組織内では、チタンイオンがT細胞に取り込まれRANKLの分泌を促進する。 最近骨代謝に おいて免疫系や神経系に関連した骨免疫タンパク質であるセマフォリンによっても骨代謝を制御されていることが発見され、セマフォリンが交感神経を介して骨芽細胞と破骨細胞を同時 に制御し骨量を増加させている。 本研究の目的はインプラント周囲炎組織内のチタンとジルコニア溶出量と骨免疫タンパク質であるセマフォリンによる骨吸収との関連性について解明する研究である。 本研究はミニブタの下顎骨にチタンおよびジルコニアインプラント体を埋入し、インプラント周囲炎を発症させ、インプラント体周囲組織を採取する。インプラ ント周囲炎組織内におけるチタン・ジルコニア溶出量をMALDI-TOFMSを用いて定量的に計測する。またインプラント周囲炎組織内に存在するセマフォリンの発現を遺伝子Chip分析、RT-PCR法および免疫染色法を用いて解析する。それらについて比較検討を行いインプラント周囲炎おける骨吸収が金属イオン溶出によってセマフォリンの分泌がどのように変化しているかを解析する。 2022年度はミニブタのインプラント周囲炎モデル作製準備のためにミニブタの小臼歯の抜歯を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は1-2歳齢のGottingenミニブタを用いてインプラント周囲炎モデルを作成する計画であった。 ミニブタの下顎両側小臼歯を抜歯し、骨治癒が得られる12 週間後にチタン、ジルコニアそれぞれのインプラント体左右側3本ずつ合計6本埋入する。埋入術後は週2回の口腔清掃を鎮静下で行い、8週間の治癒期間後に2次手術を行う。アバットメント装着4週後にヒーリングアバットメント周囲に3-0絹糸を結紮し、インプラント周囲炎を発症させる。コントロール群には絹糸を結紮 させずに口腔清掃を継続させる。結紮8週後に絹糸を除去し、16週間後に屠殺しインプラント周囲組織を採取しインプラント周囲炎モデルの作成を計画してい た。 しかしながら新型コロナウイルス感染症の影響で動物実験施設の使用に制限があったこと、さらに実験に用いる試薬や実験機器が世界情勢から輸入困難となってしまい動物実験の実行が困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験施設の使用は2023年度から通常稼働となり、実験が遂行できる環境が整った。そのため2023年度前半にはインプラント周囲炎モデルの作成が完了すると考えている。
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